「ふはははは!! 負ける気がしない!!」
「あの、さらっと私の宝具レベルを5にするのはどうかと思うのですが」
元気よく、しかし涙目で周回しているオオガミと、若干顔が赤いものの、わりと平気そうなアナ。
オオガミが涙目なのは、在庫がなくなった石貯蔵庫から察することが出来るだろう。
「アナはそういうけどね! こっちはエレシュキガル狙いだったんだからね!?」
「でも私じゃないですか」
「召喚に応じたのはアナだよね!?」
まるで、オオガミが悪いかのように言うアナに困惑するオオガミ。
むしろ、欠片も来る気配がないエレシュキガルにはめちゃくちゃ嫌われてないかと悩むが、本人がいないのだから判断することは出来ない。どのみち泣き出したいオオガミだった。
「ところで、ですね。実は私もそろそろ倒れそうなんですが」
「真顔で言われるとスッゴい困るんだけど! というか、なんで来たし!」
「だって、姉様が行ってこいって……」
「エウリュアレ何してんの!? あぁもう! 一番下に行かないと帰れないのについてくるから……! ほら、背負っていくよ」
「うぅ……すいません……」
倒れるようにオオガミに寄り掛かるアナ。
オオガミはアナをしっかり背負うと、ゆっくりと歩きだす。
「はぁ……うん。まぁ、解決すれば治るでしょ」
「そう、ですね……ところで、戦力にあては……?」
「あるよ。サンタさん」
「あぁ……ランサーには、勝てなさそうですね……」
「まぁね。相手がランサーなら、一時召喚するしかないかな」
「……その設定、一応残ってるんですね……」
「設定って言わないで!? ていうか、突然のメタ発言は止めよう!?」
「いえ……私含め、普通に出てるので……もう無くなったのかなと。でも、ノッブを除いて再召喚された人しかいませんし、実質セーフですね」
「アウトに近いけどねぇ……って、そうじゃないそうじゃない。とりあえず、安全なところに行かないと…… ここだとトナカイに襲われるし」
「安全なところ……ですか。マスター、忘れているようなので言っておきますが、ここ、冥界ですよ?」
「……あぁ、安全なところなんてないって意味ね!」
背後から迫る気配に、全力で走り出すオオガミ。
とはいえ、闇雲に逃げ回ったところで捕まってしまうのは時間の問題。ならば、
「サンタさ~ん! とりあえず4ターンほど時間稼ぎをしてからこっちに来て!」
「あぁ。だが、逃げ切れるのか?」
「逃げ切って見せるとも!」
隣に来て質問するアルテラに、ニヤリと笑って答えるオオガミ。
それを聞いたアルテラは頷いて、
「うむ。なら、ここは私が引き受けよう! さぁ、マスターは急ぐと良い!」
「ありがとうサンタさん! また後で!」
オオガミはそういうと、その場から全力で逃げるのだった。
シュメル熱なのに平然としているメンツ多くない……? なんで……?
あ、さりげなくアナの宝具レベルが5になってます。エレシュキガルの時に金ランサーでアナが出たときの絶望感。嬉しいのに嬉しくないと言う……