「……何してるんですか」
「いや、もしかしたら冷たいかなって」
冥界の砂を袋に詰めてアナの頭の上に置くオオガミに、思わず聞いてしまうアナ。
聞いても砂の感覚があるだけで、対して効果がある感じはしなかった。
「ん~……温いと言うか、感じないと言いますか……はっきり言ってただただ邪魔です」
「そ、そう……うん。じゃあ、やめておくよ」
そう言って、砂を片付けるオオガミ。
すると、アルテラがやって来て、
「なんだ。そんなに持っていたのか……交換しないのか?」
「ん~……全部集まってからで良いかなぁって。でないと育成しちゃいそうだし……」
「なるほど……ふむ。そういうのもあるのか。ボックスガチャとは難しいな……」
「サンタよりは簡単かと……うん、まぁ、とりあえずアナが大丈夫なら移動しようか」
「どんどん下へ向かっていくからな。寒くなるかもしれないが、覚悟はしてほしい」
「いえ、さっさと令呪で帰してくれても良いんですが」
「……それは思い付かなかった」
「盲点だった。そういえば、令呪はそのように使えたな」
「なんで二人揃ってそんななんですか……」
ちょっと残念な二人。こんなだからシュメル熱も効かないのだろうかと考えるが、それならもっと多くのサーヴァントがシュメル熱に掛かってないのではないかと思い、やっぱり違うかと考えを振り払う。
オオガミはそんなアナを背負うと、
「とりあえず、明日くらいには終わるだろうし、一日くらい誤差だよね」
「誤差じゃないです戻れるだけで良いんです返してください」
「返事は聞いてない! レッツゴー!」
「いつものことですけど、理不尽過ぎますぅ~!」
アナを背負ったまま門から飛び降りるオオガミと、それを追いかけるアルテラ。
三人は、深い深い暗闇へと落ちていく。
* * *
「で、どうじゃ? ちゃんと連れてきたじゃろ?」
「アビーが倒れてるじゃない……誰が抱えてきてって言ったかしら」
「きゅぅ~……」
ノッブに抱えられてオオガミの部屋にやって来たアビゲイル。
エウリュアレはその状況に、思わず突っ込みを入れる。
「だって仕方ないじゃろ。最後にBBに届けに行ったら倒れたんじゃし。仕方ないからこうやって連れてくるしか無かろう?」
「あぁ……それなら仕方ないわね……こっちに連れてきてもらえるかしら」
「うむ。というか、本当にマスターのベッドを占領しとるんじゃなぁ……」
「占領しているわけではないのだけどね……」
「そっちはそっちで問題な気もするんじゃがな……」
ノッブはそんなことを言いながら、エウリュアレ座っているオオガミのベッドへと向かうのだった。
不憫なアナ……どうしてこうなってしまったのか……