「のっぶぅ~……頭痛いですぅ~……」
「たわけっ!! 儂の分のアイスまで食ったらそりゃ頭も痛くなるじゃろ! 反省せい!」
「う、うるさいです~! もっと病人には優しくしなきゃですよ~!?」
「儂も病人なんじゃけどね!?」
シュメル熱に掛かっていようがわりと騒がしいノッブとBBの工房。
とはいえ、そもそもそんな大きな声を出すつもりの無かったノッブだが、目の前に自分が食べる予定だったアイスが空になって置いてあったら、激怒くらいするだろう。
「うぅ~……熱が下がったら私が用意しますから~……今はちょっと静かにしててください~……」
「……いや、まぁ、許すけども、氷でも取ってくるか?」
「それも良いですけど、今は耳栓がほしいです……」
「阿呆。それをすると気持ち悪くて寝れんわ。音は諦めよ」
「じゃあ、静かにしててくれると助かります」
「ん。まぁ、儂も辛いしな……もう一個アイス取ってこよ」
「あ、イチゴが良いです」
「懲りんな貴様!」
ノッブはそう言って、再び部屋を出ていくのだった。
* * *
「あぁ、風邪なんて何時以来かしら……」
「出来れば掛かりたくないけど、そもそもこれはシュメル熱だからもっとヤバイものだって、茶々は主張するの」
「暑いのに、寒い……不思議な感覚だ……なるほど、これが人の子らの言う風邪と言うものか……」
「いやだからシュメル熱だって。というか、なんで茶々が看病してるんだし」
アビゲイルがいなくなった後、あったか濡れタオルを二人の額の上に乗せていた茶々。
ちなみに、お湯は二人が勝手に生成する氷を溶かして作っている。
「あぁもぅ、茶々だって寝たいんだけどなぁ……! でも見捨てられないしなぁ……!」
「ありがとう茶々さん……治ったら、なにかお礼をするわ」
「死にそうな顔でなんて事を……! さてはこの子、死亡フラグを知らないとみた!」
「脂肪フラグよね。知ってるわ。ラーメンを食べ過ぎると立つのよね」
「ダメだ思考回路がバグってる……!」
「そうか……人の子は、そうも簡単に体型が変わってしまうのだな……」
「なんで脂肪フラグを理解してるのかなそこの女神様は! あと、自分は太らないんです宣言は要らないからっ!」
ドヤ顔で誤認識した内容を語るアナスタシアと、その隣で神妙な顔をしてさりげなく煽ってくるスカディに、思わず頭を抱えて「まともなのは私だけか……!」となってしまうのは是非もないことだろう。
「はぁ……とにかく、治ったらの事は治ってから考える。今はゆっくり休むこと。分かった?」
「は~い」
「きっと、この感覚も今のうちだからな……楽しむとしよう」
「この駄女神め!」
素直なアナスタシアと違い、やはり少しずれているスカディに、茶々はスカディの頭を軽く叩きつつ言うのだった。
個人的に病気だろうが問答無用で超絶元気そうな二人。こういう緊急時じゃなきゃぶっ飛ばされそうなことをしてますよねぇ……