「BBちゃん復活です~」
「明らかにテンションが低いんじゃが……」
「そりゃ、貴女にボコボコにやられたんじゃない……それこそ、是非もないことよ」
疲れきったような表情で食堂に入ってきたBBを見て、ノッブは不思議そうに、エウリュアレは呆れたように言う。
「全く……私が放っておいてって言ったのが原因だと思うんですけど、まさか本当に放置されるとは思わなかったです……」
「なんじゃよ……置いていけと言うから、寝床まで用意して行ったのに。残れと?」
「いえ、見に来るくらいはしても良いんじゃないかなぁって思っただけです」
「あ~……見舞いは考えとらんかったなぁ……うむ、次は気を付けるとする」
「……昨日戦った仲とは思えないわね……」
「あれは耐久テストでしたし~。BBちゃん全力じゃないですし~。よってノーカンですっ!」
「ふははは! 負け惜しみ存分にするが良い! 儂が勝ったのに変わり無いしの! わははは!!」
「うぐぐ……! 何時か絶対やり返してやります!」
頬を膨らませて怒るBBと、豪快に笑うノッブ。
エウリュアレはそれを見て苦笑いをするだけだった。
「それで、BBは何しに来たの?」
「あぁ、それはですね……普通にお菓子を食べに来たんですよ。一応魔力供給はされてますけど、やっぱり甘いものを食べたいじゃないですか」
「うむ。なんだかんだ秘密工房作っても、食事は結局ここじゃしね」
「まぁ、美味しいし仕方無いわよね。あ、そういえば、今毒で倒れているマスターの代わりに、エミヤがティラミスを作ってたわよ?」
「……ほぅ?」
「なるほど。つまりBBちゃんへの献上品ですね? なら遠慮なく貰っちゃいますね?」
エミヤが作っていると知ったとたん、奪おうと即決する二人。
当然、エウリュアレも巻き込まれるのは確定しているので、すぐに奪うルートを考える。
「とりあえず、BBを犠牲にして奪うルートはいくつか考えてあるんじゃけどね?」
「ちょっと待ってください。なんで瞬時に私を売りに来てるんですか」
「囮じゃなくて犠牲な所にこだわりを感じるわね……」
「別にこだわってはないんじゃけどね? というか、囮じゃなくて、犠牲じゃからな?」
「……文字通りってことね」
「尚更質が悪いですね……」
比喩ではなく、文字通りの意味でBBを犠牲にしにいっているノッブに、BBは苦い顔をする。
が、エウリュアレは特に気にした様子もなく、
「まぁ、最終的には私が二人とも売って、全うな手段で食べるから良いんだけどね?」
「ま、巻き込まれる気ゼロなんじゃけど……!」
「自由人同盟はどうしたんですっ!?」
「そもそもそんな同盟、入った覚え無いんだけど?」
「えぇっ!? だって、マスターがエウリュアレもこっち側だって……!」
「そう……まぁ、マスターは後でどうとでもするから良いのだけど、その同盟、誰が入ってるのよ」
「そ、それは秘密です。幹部的に、個人情報の流出は重罪なので。具体的には二日ほど魔力供給がカットされます」
「いやに具体的且つダメージの大きい罰ね……というか、自由人なのに縛られてるって、ある意味矛盾よね」
「それはほら、秩序的なのは必要ですし。仕方ないですよ」
「ふぅん……まぁ良いわ。とりあえず、その話はマスター直接聞いてくるから。あと、ティラミスは大人しく待っていればそのうち出てくるから安心しなさい」
「……なんか、あやされてるみたいです……」
「そうじゃなぁ……まぁ、マスターがやられている間にティラミスを食べてさっさと撤収するか」
「そうですね」
去っていったエウリュアレを見送り、二人はティラミスが出てくるのを待つのだった。
自由人同盟という、ヤバさしか感じない同盟……
しかし、いつ皆を呼び戻そう……