「はぁ……毒も治って、空想樹も叩ききって、一件落着って所だね」
「そうねぇ……最後の方は、縛りが息してなかったけど。まぁ、仕方無いことよね」
「ま、是非もないよねっ!」
「私も若干暴れられたし、満足よ」
食堂にて、疲れ果てているオオガミを労うエウリュアレとノッブ。アビゲイルは自分で取ってきた一口サイズのイチゴタルトを美味しそうに頬張っていた。
「さて。一段落したことだし、これからはいつもの宝物庫を荒らす作業に戻ります。つまり、アタランテ姐さんとスカサハ様の出番です」
「あぁ……お疲れ様ね」
「まぁ、あの二人は周回の要になっちゃったし、是非もなし。というか、最近また儂の出番無くね?」
「ノッブはほら、ネタ枠だから。というか、戦車擬き作るんじゃなかったの?」
異聞帯での会話を思い出し、ノッブに聞くオオガミ。
すると、ノッブは苦い顔をし、
「それはBBからの全力抗議で取り消しじゃ。儂、あれはあれで良いと思うんじゃけどなぁ……」
「なんだかんだ言って、基本的に意見一致しないと作らないよね。独断で作ったりしないの?」
「ん~……そういえば、確かにそういうのはあまりせんな……まぁ、儂が外部を作って、BBが内部を作るというのが基本じゃし、意見一致しなきゃそもそも作れるものが限られるってことじゃな」
「BBが内部設計、ノッブが外部設計をしてるんだよね。外見はどっち依存?」
「半々じゃな。儂主導の時は儂が。BB主導の時はBBがって感じじゃし」
「ふぅん? やっぱり設計図は描くの?」
「そりゃ、描かんと仕事にならんし。流石に図面無しで互いの想像通りのものが出来るわけもなし。そこまで完璧に意思疏通は出来んわ。現に、今BBがどこにおるか分からんし。エウリュアレのマスター探知能力並の精度だったら、たぶん設計図無しでも行ける気がするんじゃけどね」
そう言って、アビゲイルのイチゴタルトを一つ奪って食べるノッブ。
直後、触手に袋叩きにされたのは言うまでもないだろう。
地面に埋められたノッブを見て、オオガミが頬を引きつらせていると、エウリュアレが、
「それで、エレシュキガルもだけど、孔明も育成しなきゃよね。大丈夫なの?」
「う、うぅむ……大丈夫かと聞かれると、大分怪しいところ。とりあえず、今年のクリスマスでどれだけQPが稼げるかにかかってるかなぁ……」
「そう……なら、リンゴは無駄遣いできないわね。ちゃんとたくさん集めるのよ?」
「……頑張ります」
エウリュアレの笑顔の圧力を前に、視線を逸らして答えるオオガミ。
今回のクリスマスは周回しやすくあってくれと願うオオガミに、果たしてサンタは応えてくれるのか。
空想樹とか、魔神柱とかととことん相性が悪い私です。空想樹相手に令呪を切ろうか本気で悩んだ……