「うむ、先程ぶりだなカルデアよ。朕である」
「あ、始皇帝さぶべらっ!」
「マスタァァァァ!!」
温泉から帰ってきたオオガミ達を迎えたのは、始皇帝。
それを認識すると同時にマシュの強烈なアッパーカットによって、オオガミは沈んだ。
それを見ていた茶々が悲鳴をあげるのも仕方のないことだろう。
「あぁ、すいません始皇帝さん。お見苦しいところをお見せしました」
「いや、構わぬが……いやしかし、サーヴァントとはマスターを容赦なく殴り飛ばすものだったろうか……」
「あそこの二人が異常なだけで、普通はあそこまで全力で殴ったりしないわ」
「そ、そうか……ところで、技術部とやらがあるというのを聞いたのだが、誰が技術部だ?」
「ん。儂か?」
「BBちゃんもですね。えぇ、そう言われるのは私たちしかいないかと」
ひょっこりと顔を出すノッブとBB。ただ、BBの手には意識の無いボロボロのバラキーが握られているのは、かなりのホラーだった。
「ふむ……その二人か。なるほど、工房を見ても良いだろうか。朕はあれ以来気になって気になって仕方がないからな」
「むっ……始皇帝……? まさか、あの超絶イケテる戦車を作った奴か!」
「おぉ! 朕のセンスが分かるとは!」
「え、えぇ~……? あの人ですかぁ……まぁ良いですけど、あんまり弄らないでくださいね」
「あぁ、バラす時は一言断ってからするとしよう」
「既にバラした時にネジを余らせるという事件を起こしてる時点で不安しかないんですけど! 隣で監視してないとダメじゃないですかね!?」
既に過去にやらかしている実績があるので、しばらく監視されるであろう始皇帝。
だが、本人は大して気にした様子もなく、むしろその方がありがたいとばかりに首を縦に振る。
「なんなんですか、監視されたい変態さんなんですか。流石のBBちゃんもドン引きです」
「いや、純粋に技術担当をしてるやつが隣にいるんじゃから、バラすよりも簡単に機構が知ることが出来るというだけの意味じゃろ? 他意はないはずじゃ。だってこやつ、工房行きたい顔しとるもん」
「どんな顔ですか! BBちゃんにも理解できる限界はあるんですからね!?」
「なに、考えるな、感じろ。という話じゃ」
「適当ですね! いえいつも通りでした!」
とはいえ、ノッブがここまで言うならたぶん大丈夫なのだろうと思うBB。
だが、おそらく見張ることになるのはBBで、ノッブはきっと気にしないのだろうとも思っていた。
「はぁ……アナさん、バラキーをお願いしますね。私はこの人を案内するので」
「分かりました。マスターの方は……マシュさんがやってくれますか。頑張ってください」
「えぇ、頑張りますよ。ほら、ノッブも行くんですよ」
「うへぇ~……儂もかぁ……」
「当然です。ほら、あなたも行くんですよ」
「あい分かった。よろしく頼むぞ」
そう言って、三人は部屋を出ていくのだった。
マスターが死んだっ!
まぁ、朕は安定の技術部ですよね。でも、既に完成されてる技術部のどこに配備するか……そこが悩みどころ……