「なんで私がピックアップされてるの!? しかも水着なんだけど!?」
「真冬に水着……とても寒さに強いのね……」
「いや寒いんだけど!?」
何故か用意されていたイベント特効者用の部屋に何となく集まっているのは三人。
極寒の真冬でも容赦なくピックアップされる水着鉄拳聖女。
その状況に困惑する本人と、寒い中でも水着で問題ないのかと驚愕するアナスタシア。
だが、当の本人は本気で寒がっているのだが。
エルバサはその様子を見て、ため息を吐く。
「ど、どうしてこの寒い中で水着しか許されないのよ……」
「それは、ライダーで召喚されていないからだろう?」
「順序が逆だと思うんだけど!! ライダーが先じゃないの!?」
「ここにおいてそれは適応されないからな……水着しかないサーヴァントも割といる」
「でもやっぱりこのカルデアおかしいわ……!!」
「あぁ、新生カルデアスだからな。カルデアとは違う」
「そう言う意味じゃないんだけどね!?」
そもそも水着以外の服装が欲しいマルタだったが、このカルデアにおいて、上位に食い込むほどの防衛人物。
なので、石の使用は出来ないので、おそらくこの水着姿が治る時は来ないだろう。
そんな三人の元へ走ってくるジャック。
「むっ、ジャックか。どうした?」
「うん。おかあさんがこれを特効の皆にって」
「これは……?」
「……温かそうではあるけども、これは違くないかしら……」
そう言ってジャックから受け取ったのは、赤色のジャージ。それぞれ名前が書いてあるところが無駄に凝っていると思う三人。
「皆が寒いと思うから、持って行ってねって言われたよ?」
「そ、そう……えぇ、ありがたく着るわ」
「う、うぅん……あんまり着たくは無いのだけど……」
「機能美に優れた良い服だ。マスターにも感謝を伝えておいてくれ」
「うん、わかった。じゃあまた後でね」
「あぁ、後でな」
そう言って、スタスタと走っていくジャック。
それを見送った三人は、少し考えた後、その服に袖を通す。
「……温かいけど、でも、何かしら……なんだろう、何か大切なモノを失っている気がする……」
「まぁ、ファッションとしてはどうかなって思うわよね。というか、私は普段着の方が温かい気がするのだけど」
「そこは考えない方が良いだろう。私も普段着の方が動きやすいしな」
「薄着だから動きやすいわよね……流石にそれは寒いと思うんだけど」
「動けばそのうち熱くなる。だが、動いていない時はこちらでもいいか」
「まぁ、普段のドレスよりも動きやすいのは確かね……スカディさんに見せに行きましょうか」
「ファッション性に突っ込みを入れていたのに店に行く度胸があるとは思わなかったわ……」
そう言って、アナスタシアは部屋を出て行くのだった。
もはやイジメられてるとしか思えない水着参戦組。なんでこんなことになってしまったのか……楽しみすぎる……