「まさかストーリー的にも絡んでくるとは思わなかった」
「まさかコーチになるとは思わなかった」
「私、もう、疲れたのだけど……」
「まぁ、初めてにしては良い感じか」
一回戦が終わって帰ってくると、気付いたらマルタが正式にコーチになっていて、それとは無関係にアナスタシアが倒れていた。
「……中々辛いのだけど。動ける気がしないわ」
「そのうち慣れるさ。やる気があるなら手伝うが、どうする?」
「……やるわ。カルデアの中だと、居心地良すぎて動かなくなっちゃうんだもの」
「あぁ、分かる。何かとやることもないしな。気付いたら時間が過ぎていることもある。まぁ、暇潰しとしては十分だろう」
「そうね。他にも誘おうかしら」
「あぁ、それも良いな」
そんなことを話す二人に、オオガミは苦笑いをして北斎の所へと向かう。
「ねぇ、何があったの……?」
「ん? 何って、見ての通り体力作りをしていただけさ。ま、おれは見てただけだがな。ますたぁも混ざるかい?」
「いや、混ざったら死ぬって。いや、死なないまでも動けなくなるって」
「そんなところを襲われたらどうしようもねぇか。でも、体力をつけておいて損はねぇんじゃねぇか?」
「あ~……それもそうかぁ……うん。まぁ、頑張るよ」
「応。死なないように気を付けな」
「死なないように頑張るよ」
そう言って、オオガミはエルバサの所へと向かう。
そして、ケツァルマスク及びマルタは、スパーリングを始める。
「まさか、こんなことで戦うことになるなんて思いませんでしたよ」
「私も相手が増えるなんて思ってなかったので嬉しいデース」
「とりあえず、一回。終わったら少し外を歩くとします」
「オーケーね。じゃあ、行くわよ?」
そう言って二人が構え、ゴングが鳴り響く。
* * *
「無理。死ぬ。疲れて死ぬ」
「流石にやり過ぎたか……というか、意外と体力あるんだな……」
「ふ、ふふふ……逃げのプロは伊達じゃないんだよ……体力がないと逃げられるものも逃げられないからね……」
「なるほどな……いやしかし、本当に体力も筋肉もある。確かに逃げる分には問題ないか……」
「うん……というか、これを毎日はキツいなぁ……」
「そのうち慣れてくるさ……ただ、それをするとマシュ辺りに怒られそうな気がするのだが……」
「マシュの魔の手はここにまで伸びてきていたか……くそぅ、肉体強化すらダメか……!」
「いや、それは構わんが、ついてこれるかが問題だな。なに、アナスタシアよりは早く終わるだろうさ」
「んな無茶を……」
そう言って、疲れ果てたオオガミは、そのまま意識を手放すのだった。
ルチャの宝具に笑いをこらえられなかった私です。やべぇよ、じゃが村凄いよ……