「よぅし、残るは一試合。それさえ超えれば周回するだけだね」
「今になって周回を話題に出すのね……あえて避けてる感じだったと思ったのだけど」
「そりゃ、試合があるし、そんな遊んでられないし……うん。まぁ、そんな理由で避けてたよ」
「その配慮があるならこの決勝戦前日に話す事も無いと思うのだけど」
明日が決勝戦という事で、あまり張り詰めて練習しない様に少し休憩するメンバー。
とはいえ、運動したい人は運動し、休みたい人は休んでいるので、結局練習し続けているという人もいた。
「それで、マスター。マスターが話を振ったから聞くのだけど、箱はどれだけ開けられるの?」
「ん。今時点で50箱くらいかな。まぁ、目標の半分くらい?」
「もう半分なのね……いえ、ようやく、かしら? まぁ、どちらかはわからないのだけど、でも、頑張ってねマスター。試合に負けた私たちが手伝うわ」
「今の、微妙に棘があった気がしたんだけど……」
「気のせいよ。私は気にしてないわ。むしろあの必殺技に感動したくらいよ。クリスマスプレゼントの如く落ちてくる彼女の姿にやられたのは事実だし、認めているもの」
「そ、そう……ならいいんだけども……」
気にしていないと言いつつも冷気が漏れ出ているので、オオガミが苦い顔になっているという事を彼女は知らない。
ただでさえも寒い中、どんどん冷えて行くので、どうしたものかと考えていると、
「なんだ、意外と元気じゃないか。という事は、今日もやるか?」
「むっ……えぇ、やるわ。次こそ勝つの」
「やっぱ気にしてるじゃん」
「マスター、うるさいわ」
「うわっ、さむっ!!」
アナスタシアに明らかに根に持っていることを指摘した瞬間に吹き荒ぶ冷気。あまりの寒さにオオガミは涙目である。
すると、エルバサはため息を吐きつつ、
「まぁ、今日は軽いものにしておく。明日観戦しに行くだろう? なのに、疲れて倒れているわけにはいかないだろうからな。それでいいか?」
「えぇ。むしろ、配慮してくれてありがたいわ。これで、決勝で負けたなんて言われたらマスターを凍らせるもの」
「おっと、凍るのは俺か! まぁ、是非も無いけども!!」
明日の試合次第では強制コールドスリープさせられるらしいオオガミ。そのまま割られる可能性もあるので、ある意味永久の眠りになる可能性があるが。
「それで、今日はどんな練習?」
「あぁ、そうだな。まずは――――」
そうして、今日もまた二人は訓練を始めるのだった。
とりあえず100箱を目標にのんびり周回中。ルチャのパワー凄い……