「さてさて、決着ついたね。優勝おめでとう!! そして今からスカディさんと孔明を本格的に呼んで全力周回で!!」
「相手はアーチャーだから、ランサーも一緒に呼びましょう。いっぱい宝具が撃てるサーヴァントが良いわ」
ついに決勝戦を勝ち抜き、全ての縛りから解き放たれたオオガミは、素早く周回用メンバーの召喚準備を整えていた。
後ろでは、何故かオオガミよりも興奮しているアナスタシアが待機していた。
「さてさて、誰を呼ぶかな……あ、そうだ。今こそ彼女の出番っ!」
「誰かしら! 誰を呼ぶのかしら!!」
魔法陣に魔力を流し込み、カルデアに接続して召喚する。
とりあえず。と呼び出したのは三人。うち二人は不満そうな顔で、一人は目を点にしていた。
「良い。皆まで言う事は無い。もう既に想像できている」
「あぁ……これが例の過労死労働か……もうこの時点で疲れてきた。帰っていいか?」
「えっ、周回? 周回なの? 本当に? 今から食堂に行くつもりだったのに……」
既に周回疲れを起こしている孔明とスカディ。それに、食堂を目指していたというエレシュキガルは、涙目になってきていた。
「う、うぅむ……やる気皆無しかいない……というか、エレちゃん、ちょっと見ない間に一気に染まってるね……」
「えぇ、染まってるわ。あれはこたつを前にしたらみかんを持って入ってくる感じのキャラよ」
「キャラとか言わない。いや、別にいいけども……さて、どう説得しようか……」
「あ、スカディさんは私が説得するわ。マスターは二人をお願いね」
「う、うん……分かったけど、大丈夫?」
「えぇ、大丈夫よ」
そう言って、スカディの元へと向かうアナスタシア。
オオガミはどうするかを考えつつ二人に近付き、
「はぁ……いや、もう召喚された時点でどうしようもないことは分かっていた。もう諦めているから気にするな。手伝うとするさ」
「あれ、孔明先生は自己完結した……ありがたいけど、良いの?」
「何、いつか結局来るのなら、今来たとしても大差ないと思っただけだ」
「あぁ、なるほど……となると、エレちゃんだけど……こっちは何とかなるかな」
そう言って振り向くと、エレシュキガルはしゃがんで呆然としていた。
「えぇ、えぇ。別にいいのだわ。そんなに気にしてないし。ただ、最近美味しいご飯を楽しみにして夜の見回りとかしてるから、今日のご飯はなんだろうなって思って行ったら突然の召喚。えぇ、役立てるのは嬉しいわ。けど、タイミングが微妙に悪かったかなぁ~って思ったり思わなあったりするだけだし?――――」
「え、エレちゃん。帰ったらお菓子作るからそれで我慢してくれる?」
「……本当に?」
「うん。一応今の所そんなに嘘を吐いた覚えはないし。それに妙に評判がいいから、作り甲斐もあるからね。それで、大丈夫かな?」
「……仕方ないわね! 冥界の力を見せてあげるわ!」
立ち上がって元気になったエレシュキガル。
オオガミはホッと息を吐き、振り向くと、どうやらアナスタシアも説得を終わらせたらしかった。
「よぅし、じゃあ、行こうか」
そう言って、オオガミは召喚した三人を連れて周回へ向かうのだった。
一応60箱は超えたので、100箱まで後少し。頑張れ私! 頑張れ孔明スカディ!!