「ん~……タオルは増えてるけど、素材自体は増えないでリンゴが減ってる……ということは、貯めてるってことかしら」
「それしかないじゃろ。というか、尋常じゃない量なんじゃけど……」
倉庫に積み上がっているタオルの山。
別段彼女達に害はないので放って置いている。
「……やっぱり、ついて行きたかったんじゃろ。アビーも行ったし」
「……何度も言わなくて良いわよ。というか、行きたかったって言った気がしたのだけど、聞いてなかった?」
「いやいや、料理だけじゃなかろう? 一週間近くマスターを見とらんしな」
「どうしてそうなるのかしら……そもそも、一週間以上見ないのとか、わりといつもの事じゃない。なんで今になってそんなことを言うのかしら」
「別に今になってって訳でもないんじゃけどねぇ……あぁ、そうか。イベント終わったらわりと一緒にいることが多いのはそれでか。なるほどのぅ……」
「何をそんなしみじみ言ってるのよ……それに、そんな一緒にいるって訳でもないでしょ?」
「ん~……冗談で言っていないところがまた笑えるところなんじゃけどなぁ……あまりにも自覚が無さすぎるからなぁ……」
何やら温かい目をしてくるノッブに、エウリュアレは怪訝そうな目で見ながら、
「何よ……そんなに一緒にいたかしら……」
「思い出せば分かる。8割くらい一緒にいる。特異点でも、結構いる。儂知ってる。最近はいないから気になってるんじゃけどね」
「……まぁ、確かに思い出すとほとんどいるような、そうでもないような……?」
「そんなことあるから言っとるんじゃってば。まぁ、今ならBBに言えば乗り込むくらいは出来るじゃろ。行くか?」
「そこまでしては行かないわよ……というか、行けるの?」
まるで散歩でも行くかのように提案してくるノッブに思わず聞き返すエウリュアレ。
すると、ノッブは平然とした表情で、
「まぁ、なんとかなるじゃろ。出来るかは知らんが、あやつなら出来るって」
「要するに無茶ぶりしに行くってことね……絶対マシュが来るからさせないわ。そんな手段を手に入れたら何するか分かったものじゃないもの。何故か最終的に怒られるのは私なんだから」
「まぁ、一番の黒幕が高確率でマスターじゃしねぇ。そりゃ、エウリュアレが怒られるのは是非もなかろう。まぁ、諦めるんじゃな」
「そんな理不尽な理由で怒られるのを諦めろって言われても……嫌だとしか言えないわ」
「まぁ、そうじゃろうなぁ……とりあえず、食堂に戻るかぁ。今は工房も休止しとるしな。さてさて、今日の菓子はなんじゃろな~」
「今日はイチゴのミニタルトよ」
「うわぁ……なんで知っとるんじゃこいつぅ……」
そんな事を話ながら、二人は食堂へと向かうのだった。
そろそろ周回に飽きてきたような、でもなんとなく楽しいような。そんな感じです。(+10周回