「ん~……木材が足りないなぁ……」
「じゃあ集めに行きましょう先輩。あ、私は掃除してますね」
「あ、ついてきてくれる訳じゃないのね……」
慰安旅行なんてものは無く、いつの間にか旅館で働く状況に、別段違和感を覚えない二人。
仕事の分担も、マシュがサクサクと決めていくので困るところはなかった。
なので、今日も施設増設のために必要な木材が足りないことに苦い表情になるオオガミに、マシュは笑顔でやることを教える。
「さて、また山に行かないとかぁ」
「あ、温泉も解放しないとですよ。むしろ温泉メインでお願いしますね!」
「入れるかは分からないけどね……?」
「でも、無かったら入れる可能性はゼロなのでやはり必須ですよ。早くしてください先輩!」
「先輩使いの荒い後輩に育ったなぁ……うんうん。先輩はちょっと悲しいよ」
「先輩がこうしたんじゃないですか。じゃあ、お願いしますね」
「はいは~い」
そう言って、マシュの要望に応えるために森へ向かっていくオオガミ。
そして、それを遠目で見つつ待っていた孔明は、大きくため息を吐き、
「また私か。休ませてくれるつもりはないみたいだな……」
「あはは……まぁ、温泉が出来たらゆっくりしてください。すぐ呼びますけど」
「ゆっくりさせるつもりないだろ。まぁ、もう諦めているから良いんだが……温泉だと男女が別れるだろう。その場合、私は女湯の方へ行けるわけないからな」
「俺だって行けませんよ。向こうの戦いは女性陣に任せるしかないじゃないですか……エウリュアレ呼ばないと……」
「……本当に信頼しているな……マシュではダメなのか?」
「マシュは……そうだね。マシュでも行けるか。うん。むしろマシュの方が安全かも。うん。マシュに任せることにしよう」
「……何も考えてなかっただろう」
「……ノーコメントです」
目を逸らすオオガミに、孔明はまたため息を吐き、
「戦いから遠ざけるのは良いが、なんだかんだ言って手伝いたいところはあるんだろう。たまには任せてみても良いんじゃないか」
「ん~……いや、それで周回を任せるのもどうかと思うんですけど」
「……そう思うのなら、私を休ませても言いと思うのだが」
「そこは諦めてください」
どうあがいても孔明は周回に連れ回される運命らしい。
「……さっさと済ませて帰るとするか」
「えぇ、諦めが肝心ですよ孔明先生」
「お前がイベントを諦めれば済む話だろうがっ!」
オオガミは孔明の話を聞き流しながら、山へと向かうのだった。
温泉の怨霊に笑いをこらえられなかった……本人連れていこうか悩んだ私です。