「……なんか、このイベント普通に辛くない?」
「先輩……慰安旅行ってなんでしょうか」
もはや休憩も何もなく、ほとんど働き詰めだった。
まるで最初からこうなる運命だったかのようで、おそらくその通りなのだろう。
「うん、まぁ、温泉も解放したし、天守閣へも行けるし、屋上庭園も作ったし、遊技場も出来たしで遊べると思うんだ。うん。ある程度余裕が出来たら遊びに行こう。満喫しよう」
「はい。私はそのために全力で頑張ります……!」
そう言って、それぞれの仕事場へと向かう二人。
そこへスカディがやって来て、
「とても不思議なのだが、なぜ私は温泉で杖を振るわねばならないのだろうか。なぜさりげなく周回をさせられているのだろうか。とっても不思議なのだが」
「それはほら、スカサハ様は優秀ですし……まぁ、マシュがいないときは休憩できると思いますけど……」
「そ、そうか……まぁ、クリスマスの時はなにもしなかったからな。許容しよう……孔明は休んでいるか?」
「今温泉で休憩してますよ。いえ、周回とかではなく」
「そうか……それはよかった。奴に倒れられると今度は私に回ってくるからな……」
「あ、そっちの心配……」
休んでいる孔明を労うかと思っていたら、仕事がこっちの回ってこないようにビクビクしているだけのようだった。
それに気づいたオオガミは苦笑いをし、
「まぁ、そのうちですよ。今はのんびりしててくださいな」
「あぁ……そうしておく。私は遊技場に何があるのか見に行ってくる」
「行ってらっしゃい」
そう言って、手を振ってスカディを見送るオオガミ。
見えなくなった辺りでまた仕事場へと向かっていく。
「あ、ようやく見つけました」
「普通に歩いてたら見つかったわね……」
「だから無理に探す必要はないと言ったでしょう」
「えっと……何か用事でも……?」
オオガミがばったりと出くわしたのはゴルゴーン三姉妹こと、ステンノ、エウリュアレ、アナの三人。
ステンノはおそらくこの温泉騒ぎの間に呼び出されたのだろう。
「用事ってほどでもないのだけど……屋上庭園って言うのを見てみたくて。案内してくれるかしら」
「屋上庭園……あぁ、分かりました。ではこちらへ」
そう言って案内を始めるオオガミの後ろを三人は歩きつつ、
「それにしても、敬語で話されるとどこかむず痒いわ」
「まぁ。仲が良いのね」
「エウリュアレ姉様はいつもマスターと一緒にいますし……」
「そ、そんなことないわよ……」
「ふふっ。
「照れてはないのだけど。変なことを言わないでよ
「ふふっ。ごめんなさいね」
そんなことを後ろで話されているオオガミは、何とも言えない複雑な気持ちなのだった。
普通に大変なイベントなのでは? 周回大変ですし、周回何度は上がっても効率が上がってる気がしないし……ふ、不思議すぎる……