「あっ……マスターさん。お久しぶりです」
「リップ、久しぶり。楽しんでる?」
今日は修理ではなく、エリザベート用の野外ライブステージを作っていた。
「あの、なにか手伝いますか?」
「あ~……ん~……そうだね……特には思い付かないかな。でも、見てるだけでも良いよ?」
「はうぅ……まぁ、そんなに器用じゃないですし、こういうのはあんまり手伝えないかもです」
「あぁ、いや、後で大きい木材を運ぶから、その時に手伝って欲しいんだけど」
「も、もちろんです! 任せてください!」
自分に出来ることがわかると、途端に目を輝かせるリップ。
すると、その後ろから、
「あれあれぇ? センパイ、何してるんですかぁ~?」
「あっ、BB……!」
「何しに来たの? 見ての通り忙しいんだけど?」
にやにやと笑っているBBを見て、苦い顔をするリップとオオガミ。
「ちょっと、なんですか二人とも。そんな面倒なやつが来た~って感じの表情するんですか。私なにもしてませんよ!?」
「でも、これからするんでしょ?」
「えっ。まぁ、はい。流石にあの二人の
「あぁ……うん。まぁ、それは必須だ。で、その機材は?」
「もちろん、この日のために作成済みですとも。絶対こうなると思いましたし。むしろこのために作ってましたし」
「流石優秀な技術部。やるときはやるね」
「えぇ。始皇帝の分解作業を阻止した甲斐がありましたよ。あそこで分解されてたら使えなくなってましたよ」
そう言って、取り出した機材にもたれ掛かるBB。相当苦労したのだろう、思い出したくもないという雰囲気がひしひしと伝わってきた。
「まぁ、おかげで安全に二人のライブを楽しめそうだよ。うん」
「えっ、何を言ってるんですか。ちゃんとセンパイは直撃を食らうようにしておきましたとも」
「あ~……そういう感じかぁ~」
センパイ絶対虐める系後輩として、そこは譲れなかったのだろう。最近アイデンティティーを失ってきていたBBにとって、きっと最終防衛ラインなのだろう。
「まぁ、そもそもフィルター無しのつもりだったから良いけどさ……うん。とりあえずそれの配線をしよう」
「むぅ……その余裕は面白くないですが、仕方無いです。私も手伝いますよ」
「あ、運ぶのは手伝いますね!」
「えぇ~? リップがですかぁ~? 精密機器を持てるとは思えないんですけど~」
「BBは黙っててっ!」
「フフっ。頑張ってくださいね~」
BBはそう言って、リップの事を煽るのだった。
なんだかんだ言って、結構オオガミ君ってライブの準備を結構やってるような……