「今日で最終日! 明日は荷物をまとめて帰るだけなんだし、今日はバカみたいに騒いで、踊って、歌うわよー!」
エリザベートの宣言と轟くような歓声を合図に始まる閻魔亭特別ライブ。
演出にメカエリチャン二名とダブルエリちゃんによる二大ボーカルに会場は開幕から大盛況。
「うわははは! 大盛り上がりだね! 最高じゃん!」
「なんでハイパーボイスの直撃を受けて一切ダメージがないかのごとく笑えるんですかこの人! ぶっちゃけ人間辞めすぎてて笑えてくるんですけど!」
「奏者よ! 余の出番はまだか!」
裏方で楽しんでいるオオガミと、オオガミが楽しんでいる事に困惑するBB。そして、唐突に現れたネロに二人の視線が向く。
「ネロ様始まったばかりです。装備整えて待機しててください」
「余も出たい! あとどれくらいだ!?」
「ん~……次の曲が終わったくらいに衣装チェンジがあるので、その間に二曲ですかね。なので楽屋で中継映像見ててください。呼びに行くので」
「むぅ……仕方ない。ちゃんと呼びに来るのだぞ!」
「うんうん。行くからね」
そう言って、手を振るオオガミに、頬を膨らませながら楽屋に戻っていくネロ。
BBはそれを見送りつつ、
「センパイ、わりと扱い雑なときありますよね」
「そう? わりと丁寧にしてるつもりだけどなぁ……」
「まぁ、ネロさんへの扱いは丁寧なんですけど、私とかノッブとかの話です。差別ですか?」
「区別です。というか、別段丁寧に話されても嫌でしょ?」
「そうですけどぉ……でも、それはそれじゃないですか。もうちょっと優しくしてくれてもいいと思うんです」
「ん~……BBちゃんは正直優しくする対象じゃないというか、なんというか。さて、次の準備しなきゃ」
「センパイ、話を逸らさないでくださいよ~」
そう言うBBをスルーしつつ、部屋を出るのだった。
* * *
「ん~……不思議とダメージを受けんな……BBが手を加えておるんじゃろうか」
「流石にそうでしょ。まぁ、このくらいが一番よね。相変わらず調整が良い感じで感心するわ」
ノッブと一緒に後ろの方で見ているエウリュアレ。
ノッブは首を傾げつつ、
「うむぅ……儂に何の連絡も無かったんじゃけど。まさかBB一人でやったんじゃろか……」
「まぁ、そんな感じじゃない? というか、聞くつもりないでしょ」
「いやいや、ちゃんと聞いとるし。つか、なんで聞いてないって思われた」
「ノッブならそんな感じかなぁって」
エウリュアレはそう言うと、ノッブは何も言い換えさずライブに集中しているかのように振る舞うのだった。
レッツ徹夜ライブ。明日は寝不足ですね(確信