「ん~……久しぶりに膝枕してる気がするわ」
「まぁ、普通しないしね……」
言いながら、休憩室のソファーでエリザベートに膝枕をされているオオガミ。
理由はオオガミが頼んだからなのだが、快く受け入れてくれたのは気紛れ故か。
「あれっ。じゃあ、普通しないならなんで私はしてるのかしら」
「気紛れじゃない?」
「そ、そうね。気紛れなら、こういうことがあっても不思議じゃないものね。うんうん。それで、
「ん~……いや、特にして欲しいことはないんだけど」
「えぇ……」
オオガミの言葉に、困ったような顔をするエリザベート。
だが、やがて何かを思い付いたようで、微笑むと、鼻唄を歌い出す。
それを聞きながら、ふとオオガミは、
「……そういえば、この前のライブ、良かったよ」
「――――ふふーん。そうでしょ!
「うんうん。エリちゃんもネロも凄い声援だったよ。流石アイドルだね」
「えぇ。でも、次こそはネロに勝つわ。絶対にね!」
「うんうん。まぁ、エリちゃんなら行けるよ」
「流石私のマネージャーね。分かってるじゃない。でも、余計な演出は無しよ。あくまでも公平にね?」
「当然。どっちかだけに肩入れしたりはしないよ」
「ならいいわ。もちろん、信じてたけどね」
そう言って笑うエリザベート。
すると、
「……汝、何をしているのだ……」
と、呆れたように言ってくるのはバラキー。
エリザベートはそれに気付くと、
「あ、バラキー。元気?」
「元気も何も、旅館から帰ってきてからずっと頼光から逃げてたわ。自分がおいていかれたのを余程根に持っているようで、しつこい」
「つまり、今は逃げきったところ?」
「うむ。で、汝は何をしている」
「いや、見ての通り膝枕をしてもらってるんだけど?」 「何を当然のような反応で返すのか……いや、吾も相手がエウリュアレだったのなら何も言わん。言わんのだが……エリザだろう? 些かどうかと……」
「えっ、そこ気にするんだ……」
「まぁいいじゃない。なんとなく頼まれて、なんとなく許可したのは私だもの。それに、どうせあの女神は気にしないわよ」
「むぅ……確かに、言われてみるとそんな気がするが……いやしかし、良いのだろうか……?」
「まぁ、良いにしろ悪いにしろ、最終的に怒られるのは子イヌだもの。私には全く関係ないわ!」
「なるほど。なら問題ないな」
「基準そこなんだ!?」
エリザベートの言葉に納得するバラキーに、オオガミは思わず突っ込むのだった。
まぁ、エリちゃんはさりげなく初期勢という特別枠なので……