「それで、準備はどうするの?」
「まずは石集めからじゃないかな」
何時になく真剣な表情で話す二人に、たまたま食堂に居合わせた他のサーヴァント達は今度は何をやらかすのかと一瞬気構えたが、石集めという単語からマシュへの報告案件だと判断して安心して自分のやることをしに戻る。
「でも、石集めってどうするのよ。強化クエストとか、面倒でやろうとしないじゃない」
「いや、むしろこの前紅ちゃんの為に思いっきり周回したせいでもうほとんど残ってないんだよ」
「じゃあ……あれね。今から全力で育成するしかないわ」
「流石に遠慮したいんだけど。正気ですか女神さま」
「正気で貴方のサーヴァントが出来ると思ったら大間違いよ」
切り返しの一撃に精神的大ダメージを受けたオオガミは、机に突っ伏す。
「まぁ、そんな気を落とさなくてもいいわ。だって大体皆そんなつもりだもの。別に気にする必要はないわ」
「いや、気にしなくてもいいって言われても気にしちゃうものだよ」
「そう? まぁ、それは後でもいいわ。で、次のイベントにいくつ石を持っていくの?」
「予定は未定とだけは言っておこう」
「予測はしておきなさいよ」
石を使うつもりのマスターを、止めるどころかむしろ積極的に溶かさせようとしているエウリュアレ。
オオガミは真顔で考えるが、現実問題そもそもその溶かせる石をどうやって用意するかが問題だ。
「そうだね……うん。とりあえず30個は集めておきたい」
「そう……なら、まずは強化クエストからよ。次は幕間。集まらなかったら諦めて当日に祈って。フリークエストはメルト用なんでしょ?」
「うん。とりあえず、そういう感じで行くよ」
「えぇ。宝物庫に潜ってQPを集めるより、ずっと楽しそうでしょ?」
そう言って、笑う二人に影が射す。
振り向くと、そこには
「センパイ。石の貯蓄はどうしたんですか……? 旅行に行って帰ってきたらすっからかんとか、私、ビックリだったのですが……」
「あ、え、マシュ……? ちゃんと言わなかったっけ……?」
「えぇ、はい。一回も聞いていませんが……言い訳はありますか?」
「ええとですね、はい。紅ちゃんが来ればなぁって思いながら全部溶かしましたとも。えぇ、もちろん」
「……とりあえず叩きますね」
「そんな昭和家電の直し方みたいな強引な方法を取らないでくださいマシュ様!?」
盾を掲げて今にも殴りかかってきそうなマシュから、オオガミは全力で逃げ出すのだった。
やったぜイリヤ復刻! 回さざるを得ない!