「――――という訳で、向こうに魔法少女が来たらしいです」
「BB……儂はむしろ、単独で向こうに行けるようになってるところに突っ込みたいんじゃけど」
技術部工房の真ん中で、座椅子に寄り掛かりながらため息を吐くノッブ。
BBはそれに対して、
「いや、前にも見せたと思うんですけど」
「ん~……そうじゃったか? まぁ、覚えてないし、見てないようなもんじゃろ」
「えぇ~……まぁいいです。それで、どうします? あのステッキ、何やら面白そうなのを持ってたんですが。具体的には薬品です」
明らかに適当なノッブにBBはため息を吐きつつ、本題に入る。
ノッブは少し考えた後、
「……儂らのところに薬品担当はおらんからな……自前調合できるなら技術部入りもありじゃろ」
「ふむふむ……じゃあ、そういう方向で。作れなかったらバラしちゃいましょ!」
「いや魔法少女のステッキ分解はお茶の間大絶叫じゃから止めとけ? 儂、子どもの敵にまではなりたくないんじゃけど? 何より、それは風紀委員案件じゃろ」
「むぅ……じゃあ、分解しないで解放します。でもまぁ、魔法少女のコスチュームも気になりますし、今度見てきましょう。面白そうだったらセンパイにでも着せてあげます」
「うわははっ! なんじゃそれ、めちゃくちゃ面白そうなんじゃが!」
そう言って愉快そうに笑うノッブとBB。そして、
「うむ。その話、朕も一枚噛ませてくれまいか」
「うひゃぁぁ!?」
「うぐぅ……喧しいぞBB。別に、驚くことでもないじゃろ」
いつの間にか隣にいた始皇帝に驚いて悲鳴をあげるBB。
その声が思いっきり頭に響き、耳を押さえつつ叱るノッブ。
「ふむ……話から察するに、そのステッキとやらは会話が出来るようだし、話し合うのもアリではないか?」
「いや、むしろ儂はそのつもりなんじゃけど、BBだけ分解促進してるんじゃよなぁ……」
「だって、あのステッキ、生意気にもBBちゃんの立場を奪いに来てるんですよ!? 立ち位置一致による戦争は回避不可能ですよ!」
「いや、妥協という方向はないのか方向はないのかお主は」
「あるわけないじゃないですか! 徹底抗戦の構えです。一方的に捩じ伏せるくらいの力で倒してやりますよ!」
「……朕から見ると、件のステッキとBBは、似て非なるものに見えるが、ノッブとやら。其方はどう思う?」
「まぁ、役割が違うからのぅ……というか、マスターに薬剤は効かんし、BBの方が優位じゃろ。どこに怯える要素があるのか儂には分からん」
「だって、センパイですよ!? 絶対同類扱いしますって!」
「ん~……まぁ、マスターに限ってそんなことないじゃろ」
そう言って笑うノッブに、BBは若干不安そうな表情をするのだった。
技術部という暇人集団。未だに朕の扱いはふわふわしてる……