「よろしくお願いします。マスター」
「うん。よろしくね」
挨拶し、微笑むメディアリリィと、なぜか半泣きなオオガミ。
エウリュアレはその様子を見てため息を吐くと、
「そろそろマシュの粛清を食らっても文句言えないわよ? 容赦なく売るからね?」
「さては悪魔だなエウリュアレっ」
「生憎と女神よ。でもまぁ、堕落させる点では同じかしらね?」
そう言って、クスクスと笑うエウリュアレ。
「まぁ、マシュに報告されると困るよね……絶対殺される」
「全くよ。何故か監視責任で私も怒られるのは勘弁だわ」
「……え、怒られるの?」
「そうよ。なんでちゃんと見張ってないのかって言われるんだもの。全く……私が何をしたって言うのよ」
「まぁ、一緒になって暴れてるときもあるし、ノーコメントで」
「基本私じゃないわよね。というか、ほぼ全部貴方じゃない」
「……あの、もしかして、私はいない方がいいですか……?」
「……あぁ、ごめんなさい。すっかり忘れてたわ」
そう言うエウリュアレは、メディアリリィに謝ってから他のサーヴァントがいる場所を伝える。
「じゃあ、私はそちらの方に行っていますので。何かあったら呼んでくださいね」
「うん。じゃあ、後でね」
そう言って、スタスタと走っていくメディアリリィ。
それを見送った二人は、
「で、どうするの。マシュに言い訳したって殴られると思うけど」
「いやぁ……素直に殴られるしかないでしょ。全力全霊の一撃とかじゃない限り死にはしないと思う……」
「まぁ、そういうときだけは頑丈さが役に立つわよね」
「こんな形で役立ってほしい訳じゃないんだけどね?」
そう言うオオガミに、エウリュアレはにっこりと笑い、
「それじゃ、安心して貴方を売れるわね。楽しみだわ」
「やっぱ悪魔なのでは……?」
エウリュアレの宣言に、オオガミは頬を引きつらせる。
だが、エウリュアレはすぐに満足げにすると、
「別に、本当に言ったりはしないわ。ただ、帰ったらおやつ、よろしくね?」
「……はいはい。全く、別に脅さなくったってそれくらい作るってば」
「でも、意味はなくてもしてみたいときはしてみたいものよ。だから、諦めてね?」
「もう随分と前からそんな調子だった気もするけどね。今日は殊更機嫌が良いようで」
「えぇ、まぁ、そうとも言えるかしらね。楽しいのは事実だし。でも、貴方にやってるっていうのが一番の理由かしら。メドゥーサの代わりなんて、そう簡単に出来るものじゃないもの」
「……あれ、地味に酷いこと言われてる?」
「まさか。そんなことはないわ。むしろ光栄なものだと思うけど」
そう言うエウリュアレに、オオガミは首をかしげるのだった。
何があったかは聞かない方がいい……結果だけ聞いていた方が良いこともあるんです……