「ふ、ふふふ……ふははははははは!!! もう怖いものなんてないね! やっぱ呼符が最強なんじゃないかなぁ!?」
「はいはい。暴走しないの。思いっきり引かれるわよ」
発狂しているオオガミを後ろから蹴飛ばすエウリュアレ。
その様子を、クロエの後ろに隠れているイリヤの後ろに隠れて見ていた美遊は、
「ねぇイリヤ……あの人は、いつもあんな感じなの?」
「あ、あはは……私が見た中でも一番テンション高いかな……」
「ま、同じくらい機嫌も良いわね。ダントツよ」
「そ、そうなんだ……」
「でも、テンションは基本あんな感じですよ。まぁ、今日は元気すぎますけど」
こそこそと話す三人の隣にいつの間にかいるアナ。
三人はそれに驚くが、関係無く話を続ける。
「とはいえ、このまま行くとそのうちこっちに来そうですね……姉様が頑張っている隙に逃げるしかないかと。ではまた」
「えっ、あ、逃げるんだ!?」
「助けるんじゃないのね……」
「イリヤはどうするの?」
「えっ……い、いやぁ……別にマスターに捕まるのは良いんだけど、あの名状しがたい女の子だけが不安……今ここにいないけど、見つかったらと思うと気が気じゃない……」
カタカタと震えるイリヤに、首をかしげる美遊。
クロエは少し考えるようなそぶりをしつつ、
「でも、昨日話した感じ、そんなに警戒することないと思うんだけど……」
「いやいや、クロエさん。あの人は本性隠してますって。もっと気を付けた方がいいですよ~? 気付いたらまな板の上かもしれませんし」
「それ、ルビーのことだよね……」
「な、何てことを言うんですかイリヤさん! 私がまな板の上に転がるわけないじゃないですか!」
「いや、この前乗りかけてたからね!?」
「あ~……確かに、捕まってたわねぇ……よく脱出したわね」
「ふふん。ルビーちゃんがあの程度、脱出出来ないわけないじゃないですか!」
「何やってるんですか姉さん」
「捕まってること事態わからないんだけど……」
「サファイアちゃんと美遊さんまでそんな冷めた視線を向けないでください! 照れちゃうじゃないですか!」
「照れる要素を微塵も感じないんだけど!?」
うっすらと赤くなるルビーに、困惑するイリヤ達。
「というか、逃げなくて良いの?」
「あ、そうだった……」
「イリヤがそうするなら私も」
「さっさと逃げてしまいましょう! 昨日の鎖の人が来る前に!」
「姉さん。あとで情報共有をお願いしますね」
そう言って、三人はエウリュアレとオオガミの二人から距離をとるのだった。
結局呼符で来た美遊。嬉しいなぁ……(白目