帰ったら何か出来てるんだけど!(地下大図書館ねぇ……)
「帰ってきたよカルデア!」
「地下室に大図書館ねぇ……ちょっと気になるし、私はしばらく籠るわね」
「エウリュアレさんが真っ先にいなくなったのだけど!?」
カルデアに帰ってくるなり、新設されたという地下大図書館にやって来たオオガミ達。
颯爽と本の群れに突撃していったエウリュアレに驚くアビゲイル。
ちなみに、現在食堂ではイリヤ達の歓迎会の準備が行われている。にも関わらず、なぜオオガミ達がここにいるかと言えば、単純な話、邪魔だと追い出されたわけだ。
なので、暇潰しを兼ねて、オオガミが二人を連れて地下大図書館へと向かったわけである。
「ま、マスター! 追わなくて良いの!?」
「いや……追わなくても歓迎会までには戻ってくるし……大丈夫じゃない?」
「なんて信頼感! でも若干投げやりな感じがするのだけど……!」
「いやいや、そんなまさか。というか、今回は様子見だよ。明日は歓迎会だし、その次から本気出す」
「それ、出さないやつだと思うのだけど……!」
実際やる気がなさそうに見えるオオガミ。
ただ、こんな残念そうな感じでも、毎度イベントを最後までこなしているので、なんとなく大丈夫な予感だけはする。
そんな時だった。外から足音が聞こえ、直後、扉が開かれる。
「それで、ここが新しく出来た大図書館! 一体どこにこんな数の本が眠っていたかなんて、誰にも分からないのだけどね!」
「えっ、誰にも分からないのにあるの? 不気味じゃない?」
「よくある事よ。だってここは、絵本のように不思議なところ! 物語の中のよう! ジャバウォックの様に凶暴な怪物だって、眠りネズミのように怠惰な人だっているのよ!」
「す、凄い……何言ってるのか全然分かんないけど、なんか凄いことだけはわかった気がする……!」
「それ、つまり何も分かってないってことじゃない」
「おそらく、『不思議の国のアリス』の登場人物が主になっているのかと。ですので、会話を理解するには読んでおくのが最適かと」
「ありがとうサファイア。あとでイリヤと読んでみるね」
「お役に立てたのなら光栄です」
そう言って、入ってきたのはナーサリーと魔法少女三人組。
ただ、イリヤの手にルビーがいないのは、未だ技術部に囚われているからだろう。
「あ、マスターさん! マスターさんも見回りですか?」
「いや、次のイベント会場はここだから……というか、ここにいると襲撃されるよ?」
「大丈夫です。イリヤは私が守るので」
「大丈夫。私もいるもの。それに、今マスターの影に隠れている子が、そもそも私達に近付けさせないでしょ?」
そう言って、クロエはオオガミの後ろに隠れているアビゲイルを指す。
「まぁ、イリヤに見付かると逃げられる気がするのはわかるけど、話さなきゃ始まらないわ。あなたもこっちに来なさいよ」
「……どうしよう、マスターさん……」
クロエに言われたアビゲイルは困ったような顔をするが、オオガミはため息を吐き、
「こっちは大丈夫だから、行ってきて良いよ。そもそも、暇潰しで来たんだし。エウリュアレを探して一緒にいれば安全でしょ」
「……じゃあ、行ってくるわ」
アビゲイルはそう言うと、イリヤ達のところへと向かうのだった。
うぅん……礼装が欲しい……