「う~ん、昨日の大絶叫で今も頭が痛い……」
「おやおやぁ~? マスターさん、随分と辛そうですねぇ~?」
「誰のせいだと思ってるんだこのポンコツ……!」
「キャ~! 暴力反対ですよ~!」
そう言って、オオガミに輪の部分を鷲掴みにされて声をあげるルビー。
とはいえ、ダメージを受けていないように見えるのは、おそらく気のせいではないのだろう。
「はぁ……突然手元に来たと思ったら次の瞬間には強制変身とか、驚きすぎて一瞬動けなかったからね。代わりに真横から矢が飛んできた時は死んだかと思ったよ」
「むしろ私としては、全力で魔力障壁を張ったのに完璧に回避されて面白くなかったんですけど。なんですかあれはズルすぎません?」
「いや、普通命狙われたら避けるよね? 特にエウリュアレが射って来てるから容赦なく狙ってきてたからね? 避けなかったら死んでたよ?」
「なんで一番仲の良さそうな方が一番命を狙ってきてるんですか。ルビーちゃん的謎がまた増えたんですけど」
そう言って悩むルビー。
しかし、オオガミ自身もその理由が分かっていないので、エウリュアレに聞いて欲しいと思った。
「で、なんでルビーはこっちにいるのさ。イリヤはどうしたの」
「ん~、正直常に一緒にいる必要はないので、安全なうちは私はフリーで大丈夫かな~って思いまして」
「ふぅん……まぁいいけどさ。でも、そろそろノッブ達が来るんだけど」
「大丈夫ですよ! ルビーちゃんは意気投合したので、安全ですとも!」
「おっと。それは技術部をよく見てないね。大丈夫、直に慣れるさ」
そう言うと同時に、図書館の扉が勢いよく開け放たれる。
「調査は儂が担当するんじゃ! BBは下がっておれ!」
「嫌ですぅ! こんな地下空間とか、めちゃめちゃ面白そうじゃないですか! ノッブだけ抜け駆けさせませんよ!」
「む。朕は関係無いぞ。本を借りるついでにこの空間の解析をするだけだし」
「「それを抜け駆けって言ってるん
そう言いながら、火縄銃でBBと始皇帝を狙うノッブと、黒い鎌と触手を振るうBB。わりと興味なさそうな顔で水銀を操り防御する始皇帝。
それを見ていたルビーは、
「な、なんですかあれは……」
「ん~……内容的には突然出来た大図書館を見て回りたいし、どうやって成り立ってるのか気になるから解析したいけど、他の二人には先を越されたくないノッブとBB。始皇帝は別に速度重視じゃないけどとりあえず解析したいって感じかな。止めに行くよ」
「えぇ!? あの中に突っ込むんですか!? 明らかに自殺行為ですよ!?」
「気にしない気にしない。んじゃ、突撃~」
「さては命知らずですねこの人!」
そう言って、オオガミはルビーを片手に喧嘩している技術部に突撃していくのだった。
最終的には仲良くやるので、ただ単に喧嘩をしたいだけなのかもしれない技術部……