「……今日は、厨房の人数が多いようだけど」
「まぁ、後四日ですから。今ギルガメッシュ王がマスターを抑えている間にある程度準備をしておきたいというのは自然な事かと」
ふぅん、と呟いて、エウリュアレは椅子に座りつつ厨房を眺める。
隣に座ったアナは、ティーセットを一式持っていた。
確かに、エミヤは追い出されたのか、居心地が悪そうに座っているところを見るに、厨房で頑張っているのはチョコレートを作っているのだろう。
「……貴女はいいの?」
「私は作り終わってますから。姉様は良いんですか?」
「アイツが貰いに来ないから、暇なのよ。周回にはまるのはいいけど、抜け出せなくなるのはどうかと思うわ」
「いえ、マスターも14日まで待つと言っていたので、周回しているだけかと」
「……日付を重視する気持ちは分からなくはないけど、さっさと貰いに来ても良いと思うわ」
「ちなみに、全員から貰う準備は終わっているそうです」
「尚更早く貰いに来ても良いと思うのだけど」
そう言って、頬を膨らませるエウリュアレ。アナはそんなエウリュアレに苦笑いする。
そんな二人の隣に、さりげなく座ってくるのは武蔵。
「やっほ~。いつもマスターと一緒にいるからちょっと話してみたくなっちゃった」
「あら、宮本武蔵、だったかしら。下総国と、私は知らないけどアナスタシアの時もありがとね」
「あ~……その時の事、私、うっすらとしか覚えてないのよね~。だから、あんまり聞かないでくれると助かるかなぁって」
「そうなの? まぁ、それでもいいのだけど。それで、何を話しに来たのかしら」
余裕そうな表情で紅茶を飲みつつ武蔵にそう聞くエウリュアレ。
すると、武蔵はとても目を輝かせながら、
「エウリュアレさんとマスターの関係性を聞いてみたくて! 基本一緒にいるから気になっちゃって!!」
「……一定期間ごとに一回聞かないと気が済まないのかしらこのカルデア」
「姉様。全員違う人です。というか、そんなに聞かれてないです」
思いっきり動揺しているエウリュアレに、アナが突っ込む。
「ま、まぁ、別に私は気にしないけど、そんなに気になるものかしら」
「えぇそれはもう! 色恋沙汰っていうのは何時の世も好まれるわ!」
「そ、そう……ん~……どこから話せばいいかしら。まぁ、そもそも私がこうなったところから、かしら」
そう言って、遠い目をするエウリュアレ。
それに対して、武蔵は目の輝きを増していく。
そんな武蔵に、エウリュアレはため息を吐いて、静かにしているアナをちらりと見つつ、話し始めるのだった。
気が付くとエウリュアレの昔語りしてる……
あ、まだ誰からもチョコ貰ってません。手持ち全員分のチョコは揃ったんですけどね。