「……現実?」
「現実です。というか、本当に出すんですか……」
「もう! BBったら、素直にお祝いできないの!?」
「なんで私リップに怒られてるんでしょ?」
「……来て三十分もしないでここまで強化されるなんて思わなかったのだけど、どういうことなの、コレ」
今までの行動を鑑みれば、もっと発狂していてもおかしくないのだが、もはや驚きが一周して呆然としているらしい。
そんなオオガミに、召喚されたばかりのメルトが、
「私のマスターなら、もう少ししっかりしてほしいものね。あぁ、いえ。静かなお人形の様でもいいのだけれど」
「あ~……メルトが想像してる何倍もそのマスター、凶暴なのだけど……」
「そうですよ。尋常じゃないくらい危険なんですから。しかも、そんなマスターに切望された貴女がどうなるなんて、私にもちょっと想像できないです。頑張って生き残ってくださいね?」
「あの、とりあえずエウリュアレさんを呼んでおくわ。緊急時に止められる人が欲しいもの……」
そう言って、アビゲイルは門を開く。
BB達はそれを横目で見つつ、マスターが不審な動きをしないか見張っていた。
「……よし。とりあえず、一回落ち着こう。現実を受け入れるために、周回で」
「逃げた! 珍しく逃げましたよこのマスター!」
「でもなんか安心しました!!」
「あれ、エウリュアレさん必要なかった……?」
「なんか、過剰に反応されているのだけど……普段どんなことをしてたらこんなことになるのよ」
しかし、そんなメルトの疑問に答える者はおらず、ただ一人、状況に置いていかれていた。
* * *
「……ま、私が行く必要は無さそうね」
「なんじゃ……儂、エウリュアレが嫉妬して突撃すると思ったんじゃけど」
「そんなことするわけないでしょ。誰が嫉妬するのよ……」
「ふむ。まぁ、お主がそう言うのならそういう事にしておくか」
食堂で、アビゲイルの門を隣にノッブと話すエウリュアレ。
「それにしても、BBが向こうに行っておるから、儂やることないんじゃよね。何かないか?」
「……それじゃ、久しぶりにゲームでもしましょうか。NPCはレベル9でいいわよね」
「ふむ……それ、チーム分けは?」
「あなた一人に対して私は三人。これで同じくらいじゃないかしら?」
「マジかぁ……いや、是非も無し。受けて立とうではないか」
「えぇ。じゃあ行きましょうか。アナ。行くわよ」
「えっ、私もですか。あ、はい。行きます」
足早に工房へと向かうエウリュアレ達に、アナは急いでついて行くのだった。
めちゃくちゃ祈って出なかったのが突然出ると、頭の中が真っ白になって何をすればいいのか分からなくなるんですね……とりあえず困惑したのでレベル100オールスキルマフォウ2000/2000の強化クエストクリアまで終わらせておきました。宝具レベルが1なのが悔しい所。