「さてと、それじゃあ真面目に頑張ってみますか」
「今更取り繕ったって無理だと思うの」
唐突にやる気を出すオオガミに、冷静に突っ込むエウリュアレ。
「それで、私を連れまわすのは確定なのでしょう? なら、早く行きましょう?」
「エウリュアレよりも優しい……!!」
「よく言ったわ痛い目を見なさい」
素早い蹴りを寸前で避けるオオガミ。それに舌打ちをするエウリュアレは、弓矢を取り出して二回射る。
しかし、当然の様にそれを躱しつつ、
「唐突に攻撃してくるのはどうかと思うんだよ本当に」
「大丈夫。最悪BBがいるから何とかなるわ。自称何でもできる万能系後輩らしいし?」
「ちょっとエウリュアレさん! 失礼な事を言わないでください! そもそも、私一応保険医ですよ? 傷を治す事にかけては今の所一番ですからね!」
「あ、いや、どうだろう……メディリリが回復系だからなぁ……」
「そ、それを言われると困りますけど……」
そう言って困ったような顔をするBBに、エウリュアレは、
「別に、今ここにいるのは貴方だけだからそう言っただけなのだけど。それ以上でもそれ以下でもないわ」
「そ、そうですか……いえ、別に嬉しくないですけど。それで、やるんですか? 協力しますけど」
「おっと敵対がもう一人か最後まで抵抗するぞこの野郎!」
「野郎じゃないです乙女ですぅ!!」
「突っ込むのはそこなんですね……でも、マスターさんが捕まる様子が一切思い浮かばないのが不思議です……」
「なんか、この状況に慣れ始めてる私がいるのだけど……」
「順調に侵食されてるし。いや、別に慣れちゃっても問題ないけどね」
「そう……」
鈴鹿に言われ、何とも言えない表情になるメルト。
すると、エウリュアレとBBに追われているオオガミがメルト達の方に向かって走ってくると、
「逃げるよ!! 全力で!! 死にたくないから!!」
「だからって私らも巻き込むなし!!」
「あら、じゃあ私も狩る側に回ってみましょうか」
「あれ!? メルトは私と一緒にマスターさんを守る側に回ると思ってたのに!?」
「バカねリップ。BBの味方は癪だけど、こちらの方が面白そうなのだから、こちら側に回るに決まってるじゃない」
「リップが追い付けないから実質一人で三人の攻撃をかいくぐるんですねあり得ねぇ!!」
まさかの三対一という状況に、顔を青くしながら走るオオガミ。
手持ちの礼装を見つつ、相性の悪さに頬を引きつらせながら鈴鹿を巻き込みつつ周回地点まで走って逃げるのだった。
ヒロインは追う側に回る法則……? 正直強化解除されたらオオガミ君も無能化する可能性が……