「よぅし、逃げ切った!! これでどうだ!!」
「なんで逃げ切れるのよ……おかしいじゃない……」
「強化解除があったからいつもより追い詰められたのだけどね……周回エリアまでの制限が無かったら勝ってたわ」
「くぅ……悔しいですけど、メルトがいる方が追い詰められてます……やっぱり人数が多い方が有利ですね……」
「マスターを平然と追う相手として見てるのもそうなんだけど、何よりも、負けるってのが意味分かんないし……というか、私まで追いかけるのは違くない?」
「結局私、役に立ちませんでしたぁ……ごめんなさいマスター……」
勝ち誇るオオガミと、倒れる面々。ちなみに、疲れはオオガミとの追いかけっこと言うよりも、周回の疲れがメインだ。
「それで、周回するの? 二回目は一撃入れるわ」
「なんで生死をかけた鬼ごっこをもう一回しなきゃなのさ!!」
「今は止めておきなさい。帰ったらいくらでもシミュレーションで遊んでいいから」
「なるほど。それならいくらでも遊べますね!! センパイへのフィードバックを最小限にすれば何回でも行けそうですね!!」
「理不尽な……!! せめて半日で!!」
「むしろ半日までならやるの!? マスターマジで何者だし!!」
オオガミの発言に突っ込む鈴鹿。
半日までならあの鬼ごっこに付き合えるとは、本当に何者なのかが気になってしまうのも仕方ない事だろう。
「いやぁ……センパイなら断らないとは思いましたけど、まさか半日も付き合ってくれるとは思いませんでしたよ……」
「貴方、そこまで人を辞めてるとは思わなかったわ……」
「いやいやいや。流石にレオニダス隊長ほどじゃないって。五分寝れば回復するほどの力はないって」
「そう言う意味じゃないのだけど……」
むしろ、レオニダスを目指しているあたり、強靭無敵の最強戦士にでもなるつもりなのかと思うエウリュアレ。
「半日も猶予があるなんて嫌よ。なんだか舐められてるみたいじゃない。一時間。それで捕まえるわ」
「一時間もかけるんですか? 30分で捕まえるって豪語しちゃいましょうよ!」
「うるさいわBB。そもそも貴女も捕まえられてないでしょ」
「それを言われると反論できないですけどぉ……そもそも、今の所、センパイをすぐに縛り上げられるのなんて、エルキドゥさんくらいですしぃ? でも、最近のセンパイを見てると、そのうちエルキドゥさんにすら逃げ切るんじゃないかと思ってきたんですよね……」
「そこまでヤバくはならないって。人間を勝手に辞めさせないで」
「既に手遅れでしょ」
好き勝手に言うBBに文句を言うオオガミ。
しかし、現状からして、そこまで的外れでもないのが問題ではあった。
「まぁそこら辺の話はまた後でしましょ。ほら、さっさと周回に行くわよ。追いかけっこは……やりたいならやりましょうか」
「今日は拒否で!!」
「いいえ今日こそ反撃の時よ!!」
そう言って、メルトはオオガミを追いかけ、そのまま周回エリアに向かって逃げ出すオオガミをみんなで追いかけるのだった。
まぁ、強化解除って言っても、基本使い捨てで動いてるから、されたところで変わらないか……と思った私です。不死身かマスター。