「さて……周回しないと……明日は面倒臭い人が面倒なことをするから、そのためにクエストを終わらせておかなきゃ」
「ちょっと。面倒臭いってなんですか。BBちゃんはこんなにキュートで万能感溢れる小悪魔系後輩の何が不満なんですか」
「むしろ貴女に面倒臭くない所があったかしら」
久しぶりに食堂でぐったりとしているオオガミの左右で不満そうな顔をするBBとメルト。
それを見たエウリュアレは、
「あら、珍しく貴女の隣が空いてないわね」
「あら、コイツの隣は貴女の席だったのね。なら私が退くわ」
「いえ、別にいいのよ。私は正面に座るもの」
「そう? じゃあ、BBを退かせようかしら」
「ちょっとメルト。来て早々レベル100オールスキルマされたからって調子乗らないでください! センパイの隣は特に理由も無く死守しますからね!!」
「理由ないんかい」
「そりゃ、センパイの隣には大抵メルトさんですから? 代理品のくせに私を無視するなんていい度胸だって思うじゃないですか。じゃあ、無意味に嫌がらせするのも自然な事だと思うんです」
「何てフリーダムな奴……」
「それがBBちゃんの良い所だと自負してますからね!」
「いや欠点でしょ」
「私はそろそろ慣れてきたわよ」
今にも戦闘を始めそうなBBとメルトに挟まれ、だんだんと顔を青くしていくオオガミ。
エウリュアレは対面に座りつつそれを見て、
「随分と、人気みたいね。取り合いでも始まるのかしら」
「珍しくドストレートに毒を吐いてくるね。機嫌悪いの?」
「いいえ、別に? ただ、見てて面白いなって思って。ふふっ。もう少し見ててもいいかも」
「助けてくれるわけじゃないことにエウリュアレらしさがあるよ……」
「最近、ただの良い神って見られてる気がするから、本領を発揮していかないと」
「正直そう言うのは誰も求めてないと思うんだよ……」
「あら。求められてることに応えるだなんて、本来私らしくないと思うわ」
「少なくともいつもらしくはないから……」
「まぁね。でも、たまにはこういうのも悪くないと思うわ。BBだけの特権じゃないのよ」
「……まぁ、気まぐれだろうし、良いか」
オオガミはそう言って、お茶を飲むと、
「とりあえず、二人はここで争わないでよ。戦うならシミュレーター起動するから」
「あら、それはいいわね。決着をつけてあげるわ」
「あれあれぇ~? なんでメルト如きが私に勝てると思ってるんですかぁ~? センパイのサーヴァントになったからって、私に勝てると思わないことですね!」
「あ、俺はメルト側だよ」
「あれぇ!? 裏切られたんですけど!?」
「勝てるとは思わない、だったかしら? 今はどうかしらね!!」
「むぐぐぐぐ……良いです良いです! 私一人で二人とも倒してやるんですからねー!!」
そう言って、三人はシミュレーションルームへ向かうのだった。
何だろう……何をしてもエウリュアレのヒロイン力が際立ってる気がする……積み重ねた歳月って強いんですね……