「それで……ベッドの大きさでしたっけ」
「うん。まぁ、エウリュアレが出ていくって言ってるから、意味ないかもだけど」
いつもの工房で、ベッドの設計をしながら話すBBとオオガミ。
ノッブは別の作業をしているので、二人の手伝いには参加していない。
「エウリュアレさんが出ていくって……流石に無いと思うんですけどねぇ……いや、まぁ、センパイの最近のメルトへの執心っぷりを見て幻滅した可能性はありますけど……そもそも、そこを理解した上であんな風に接してたんですし、やっぱり関係ないんじゃ……?」
「本人がそう言ってたんだから……あと、ステンノ様達の部屋って、ベッド空いてたっけ?」
「いえ、あそこも現状一人用です。メドゥーサさんは派生含めて全員同じ部屋ですから。というか、ステンノさんもそっちの部屋に行っていたような?」
「……つまり、実質空き部屋?」
「まぁ、そうなりますね~。というか、あの人の性格的に部屋の中でひとりって言うのは似合わないですよね」
「それは分かる」
そう言いながら、大体の大きさを決めて行くBB。
「あ。二人分でいいんですか? 三人分とかじゃなくて」
「そんな大きいの作っても……というか、さっきも言ったように、エウリュアレ出て行ったらほとんど意味ないからね?」
「そしたらメルトを送り込むので! あ、BBちゃんの方がお望みですか?」
「はいはい。ふざけてないでサクッと作ってちびノッブの方に取りかかろうよ」
「むぅ……センパイ、ノリが悪いです。もっと嬉しそうにしてくれてもいいんですよ?」
「しないって。というか、何を期待してるのさ」
「え? そりゃ、おもちゃとしてもっと反応が欲しいって事ですよ。それ以外にあります?」
「いや、それくらいしかないだろうとは思っていたけども。メルトを巻き込む必要は無いんじゃない?」
「何言ってるんですか。今の状況でメルトを使わないわけないじゃないですか。一番面白そうですし!」
「混沌的な意味でだよね。何やろうとしてるかは分かるけど、ほとんど意味ないと思うよ?」
「そんなことないと思うんですけど……まぁ、それはそのうちやるとしましょう。それじゃ、とりあえずこんな感じでいいですかね?」
「うん。そのくらいのサイズでいいかな。入れ替えられる?」
「えぇ。一応、アビーさんみたいな門を使えるようになってますし。もう転移はアビーさんの特権じゃないんですよっ!」
「そ、そう……なら大丈夫かな。じゃあ、完成したらお願いね」
「えぇ! 要らなくなるベッドは、エウリュアレさんが移動する時に有効活用させていただきますね!」
「えっ。有効活用ってどうするつもり?」
オオガミが聞くがBBは微笑むだけで答えようとしないのだった。
どう考えてもエウリュアレが出て行くのが想像つかない不思議……