「よぉマスター。遊びに来たぜーって、なんだこれ」
「ん。アンリ? ごめん。今手を離せないから遊べないよ」
オオガミの部屋に入ってきたアンリは、大量のプラモデルに囲まれ、机に座り複数の道具を持って作業をしているオオガミと、ベッドに腰を掛けてそれを見ているメルトがいた。
「いやぁ……今度はこっち系に手を出し始めたかぁ……多趣味だねぇマスター」
「まぁ、極めてるわけじゃないからねぇ……ちょっと手を出してるってだけだし。ノッブ達には勝てないって」
「いやいや。生死をかけてるわけでもねぇんだから、そんくらいでちょうどいい感じじゃね? 人間もっと堕落しても生きていけるぜ?」
「いや、あいにく普通の部類じゃなくなっちゃったから、これくらい色々とないと、出来る事が減ってきてる実情やれることが無くなっちゃうから」
「ふぅん……ま、オレからしたら関係ないんだけど……そっちのお嬢さんは放置でいいのかい?」
「むしろ、そっちのお嬢さんの依頼なんですよコレ」
「あら、引き受けると言ったのは貴方でしょう?」
「うん。そうだよ。だからやり遂げるけども」
「あらら。すっかり尻に敷かれちゃって、まぁ。苦労しますぜ旦那。止めといた方が良いんじゃない?」
「ちょくちょく煽ってくるよね……いや、そう言う奴だってわかってはいるんだけども」
とはいえ、言い過ぎで何時アンリが蹴られるのかと冷や冷やしているオオガミ。
だが、当の本人は全く気にした様子も無く、
「こんなえっげつない量のもんを渡して組み立てろとか、恐ろしすぎんだろ。というか、アンタの彼女ってあのちっこい女神じゃなかったの? 鞍替え? 宗旨替えってやつ?」
「それ、エウリュアレに聞かれてたら即死案件だよ? つか、メルトが聞いてる時点で即死案件だと思うんだけど」
「今の所殺されてないからセーフだろ。ほれほれ、答えてみろって」
「いや、宗旨替えもしてないし、そもそも彼女でもなかったと思うんだけど」
「うわっ、この男無自覚か! いやぁ、こりゃあっちの女神も、こっちの新しい方も苦労するねぇ」
「何を言ってるのさ……」
「いやいや、何でもないぜ? それじゃ、適当に暇潰せたし、食堂行って厨房の連中に声かけてくるわ~」
「殺されないようにね~」
そう言って出て行くアンリを見送り、作業に戻るオオガミ。
そんなオオガミに寄り掛かるメルト。
「……何かあった?」
「いえ、なんか、さっきの黒い奴がかなり失礼な事を言っていた気がするから、何を言っていたのか聞こうと思って。内容次第で溶かしに行くわ」
「と、溶かしに行くのは止めてあげて……後で周回行くから、その時の敵で我慢して」
「内容によるわ。ほら、さっさと話しなさい」
「え、えぇ~……作業しながらで良い?」
「もちろんよ。でも、私はこのままだから頑張りなさい?」
「はいはい。分かりましたよ」
そう言って、オオガミは作業をしながら、出来るだけアンリが殺されない様に適度に誤魔化しつつ話すのだった。
正直そろそろ周回が飽きてきた……しかも、たまに事故るから大惨事になりかねない……