「先輩……最近見ないと思ったら、なんだかやつれました……?」
「あ……マシュ……久しぶり。一応生きてるよ」
完成したプラモデルを梱包しつつ、返事をするオオガミ。
その場には何故か倒れているノッブとBBがいた。
「あの、お二人はどうしたんですか?」
「あぁ、うん。組み立て要員として二人を収集して、一日中やってた」
「な、なるほど……それで昨日は食堂にいたという報告もなかったんですね……」
「えっ、報告?」
「あ、いえ、何でもないです」
「そう? なら良いけど」
そう言って、最後の一つを箱に入れ、荷物をまとめて持ち上げると、
「さて、それじゃ、メルトの所に突撃してくるかな。お届けものがあるからね」
「分かりました。終わったらメディカルルームに来てくださいね」
「うん、わかった。帰りに寄るよ」
「お願いしますね。最近先輩、来てませんから」
「それは、まぁ、うん。ごめんなさい」
謝りつつ、部屋を出て行くオオガミ。
マシュはそれを見送ってから、部屋で倒れてる二人を介抱しに行く。
* * *
「……で、なんで吾はこうなっているのだ」
「もう、バラキーったら……人のお菓子を持って行くのはダメなのよ?」
「ナーサリー。解体するの?」
「えぇ。でも、もう少し待ってねジャック。もう少しやることがあるの。向こうでバニヤンと遊んでて。出番には呼ぶわ」
「はーい!」
走り去っていくジャックを見送り、ナーサリーは拘束されているバラキーに目を向ける。
「うむ……まさか吾も捕まるとは思わなかった……吾、そこまで油断してるとは思わなんだ……一度鬼らしいことをやらねば、このまま怠けそうだな……」
「別に、もっと怠けてしまえばいいじゃない! 眠りネズミの様に全部忘れてお眠りなさいな!」
「むっ。最近鬼らしい扱いが無い故仕方ないような気もするが、吾の事を舐めてはいないか?」
「あの、ナーサリー。バラキーは何したんですか?」
何故か言い合っている二人に、首を傾げながら聞く邪ンタ。
ナーサリーはそれに対して、
「お茶会用に確保しておいたお菓子をバラキーに食べられてしまったの! 一度しっかり叱っておかないといけないと思ったわ!」
「えっと、マスターにそれは言ったんですか?」
「言ってないわ。最近なんだか忙しそうなんだもの」
「そ、そうですか……えっと、一応報告してきますね」
「あっ! 行っちゃったわ……どうしようかしら……」
「何をどうするの?」
「マスターを呼びに行ったジャンヌを止めた方が良いのか、それともバラキーへのお説教を続けた方が良いのか……そう言うのを悩んでいたのだけど――――」
そう言って、声の方にナーサリーが振り向くと、そこにはオオガミがいた。
その事に驚いているナーサリーに気付いた様子も無く、オオガミは、
「ふむふむ……状況を見るに、バラキーがお菓子を食べたとかそんな感じかな? なら、バラキーはこっちで話す事にするけど、どうする? 説教をするより、次のお茶会の準備をし直した方が良いと思うけど」
「あ、えっと……じゃあ、お願いするわマスター」
「うん。任された。じゃ、行くよバラキー」
「むぅ……吾、捕まり損なのでは? そもそも、吾、何も変な事はしていないだろうに……」
首を傾げながらブツブツと呟くバラキーの拘束を解き連れて行くオオガミ。
それを見送ったナーサリーは、すぐに新しいお菓子を調達しに行くのだった。
久しぶりのマシュ姐さんの登場。何時ぶりですかマシュ姐さん……