「のぅエウリュアレ!! これは何ぞ!?」
「シフォンケーキよ。食べてみる?」
「うむ! 吾は食べてみたい!」
「なら、これも乗せちゃいましょ。大丈夫。残ったらノッブやマスターに押し付ければいいのよ」
「なるほど……」
「何変なこと教え込んどるんじゃ、この駄女神」
本日のお菓子を取っていると、背後から殴られるエウリュアレ。
振り向きながら睨むと、そこにいたのはノッブ。当然の如く、若干怒っている。
「何よ。私は変な事言ってないつもりなんだけど」
「あからさまにおかしいじゃろ。何儂らの事を余り物を食べる奴ら扱いしとるんじゃ。お主はいい加減自分が周りに与えとる迷惑を考えろ」
「考えてるわよ。マスターや貴女が凄い苦笑いするじゃない」
「山じゃし!! あれ、山じゃし!! そりゃ苦笑いするじゃろ!!」
「みんなで食べるならあれくらい必要でしょ?」
「アレは多すぎじゃって……つか、たまにどうやって乗せとるのか疑問に思うのもあるんじゃが」
「それは、あれよ。気合」
「随分とまぁ適当なんじゃな……まぁ、良いんじゃが」
反省の色が全く見えないエウリュアレに頬を引きつらせるノッブ。
「おいノッブ。吾は早くあれを食べたいのだ。退くが良い」
「む。茨木よ。次同じことを言ったらエルキドゥ送りの刑じゃぞ」
「何それ怖い。止めてくれ」
「気弱すぎるでしょ。というか、結局ノッブは何しに来たのよ」
「明らかに不穏な事をお主が茨木に吹き込んでおったからじゃろ。変なことを吹き込まずに普通に戻って来れんのか」
「やぁよ。明らかに茨木は私みたいな感じだもの。ちょっと気弱だけど、それはしばらくすれば慣れるわよ」
「茨木がここに慣れるのはいいんじゃが、お主と一緒にするのは絶対不味いじゃろ……」
茨木の性格が酷い事になりそうだ。という意味を込めてノッブが言う。
すると、
「甘味は何時になったら食べれるのだ……」
「……ノッブ。さっさと退いて。私はこれをさっさと茨木に食べさせるのよ」
「そうじゃな。儂も行くぞ」
しゅん……とした表情をした茨木を見て、二人は机に向かい、茨木を座らせる。
何となく、子供に甘い感じがする二人だった。
「それで、何を選んできたのだ?」
「今日は洋菓子中心よ。茨木のリクエストだからね」
「今更なのだが、本当に吾が食べても良いのか? 毒とか入ってたりしないだろうな?」
「しないわよ。というか、なんでそんな発想が出てくるのよ」
「あ~……茨木の逸話の一部にあったような……あれじゃ。確か酒呑童子と一緒に神便鬼毒酒を飲まされて一人だけ逃げきれた……んじゃったと思う」
「名前からして、毒みたいね。まぁ、そんなモノは無いから安心しなさいな。昨日だって大丈夫だったでしょ?」
「そ、そうか……? なら、食べるぞ。ほ、本当に食べるからな!」
「えぇ、どうぞ。早く食べないと口の中に入れるわよ?」
「それは昨日で懲りた。だから大丈夫だ。だからその右手に持ったものを置いてくれ……!!」
ニコニコと笑いながらマカロンを口の中に突っ込もうとしているエウリュアレを全力で拒否し、そのまま先ほど取ってきたシフォンケーキを口の中にいれる。
「んんっ!! おいしいぞ! むぐむぐ。これはしばらく食べていたいな!」
「えぇ、えぇ。好きなだけ食べていいのよ」
「なんというか、本当に幸せそうに食べるのぅ……」
「見てて楽しいわね。さて、私も食べましょうか」
「やっぱり自分の分も取ってきておったんじゃな」
「当たり前じゃない。見てるだけだと、羨ましくなっちゃうでしょ」
「それもそうじゃな……どうせ残すんじゃろ。儂も貰うぞ」
「えぇ、構わないわよ」
幸せそうな茨木を見つつ、二人は別に取ってきたお菓子を食べるのだった。
あれ……? エウリュアレとノッブ……まるでふうhげふんげふん。何でもないです。
完全に茨木が子供ですね。キャラ崩壊してる気がする。