「やっと……余のレベルが上限に達したな!」
「おー。ようやくか」
「私のレベルは何時止まるのかしら……」
「私はまだ上限に達してませんからね……71ですし」
「吾、まだ始まったばっかりだから分からんのだが」
「私達にしてみれば、皆さんの成長速度が羨ましいですよ……」
とても嬉しそうな顔をしているネロに、ついにそこまで来たのかという表情を向けるノッブに、未だ止まることを知らない自分のレベル上限に頭を抱えるエウリュアレ。
パッションリップは羨望の目を向け、茨木はよく分かっていないと物語る表情でバームクーヘンを食べている。
マシュとしては、ちゃんと育てられている全員に羨ましそうな目を向ける。
「なんじゃ。マシュは最初からいたじゃろ? 何が羨ましいんじゃ?」
「えっとですねぇ……今でこそ、マスターは種火を使っていますが、アメリカ中盤までは全員レベル1だったんですよね……」
「…………あぁ、そう言えば、そんな時もあったわねぇ……あのときは私は戦力ですらなかったのだけど」
「エウリュアレさんはキャメロットからですもんね。ちょうど種火の重要性に気づいた頃だったと思います」
「そこら辺はエリザベートとエルキドゥの方が詳しいわよ。ヘラクレスもずっといたけど、話が出来ないから除外するわ」
「ナーサリーさんはロンドン後ですからあまりあまり体験してませんしね。デオンさんやドレイク船長も知ってますよ」
「……まぁ、なんじゃ。このカルデアの暗黒時代って奴じゃな。触れない方がいい奴じゃ」
「そうですね。聞かないのが一番です」
思い出しつつ、その頃の辛さに遠くを眺める目になるマシュ。
敵が強くなるのに、一向に強くなれない自分達。差は開く一方だったあの頃が懐かしいが、正直戻りたいとは思わないのだった。
「それで、今日は何をするのだ?」
「そうじゃな……ネロ。何かあるか?」
「そうだな……余はあれがいいな。ゲーム。この前の対戦のリベンジをしたい!」
「げーむ? なんだそれは?」
「まぁ、やってみれば分かるわよ。とりあえず果敢に挑むところから始めましょう」
「ノッブさん、異様に強いですからね……超必殺をカウンターしてきた上で超必殺を畳み掛けてくるとか、回避出来ませんよ…」
「儂、説明書読んだだけじゃし……やってれば慣れるじゃろ?」
「ぐぬぬ……しかし、余はあれから練習したのだ! 負けるわけにはいかぬ!」
「どうしてそんなにやる気なんじゃ……まぁ、受けて立つんじゃけどね!!」
そう言うと、二人はテレビの前に向かい、セッティングを始める。
「吾もやってみようかな……」
「やっていいのよ? まぁ、勝てる保証はないけど」
「ふん。負けても泣いたりせんわ」
「そう? それならいいのだけれど。ほら、準備が終わったらしいわよ」
完全に慣れ切った手つきで作業をする二人は、瞬く間に終わらせ、始める。
内容は、時たまリアルファイトに発展すると言われる二人対戦ゲームだった。
そこに乗り込んでいった茨木童子の運命やいかに。
なお、数時間後に茨木はノッブを泣き落としにかかる模様。