「まぁ、うん。イリヤ達が作れたから、成功で良いんだよね……」
「うむ。お疲れ様だご主人。しかしあそこまでリップが暴れるとは思わなかった……まさか緑茶を亡き者にしようとしていたとは……」
「あぁ……それで食堂がとんでもないことになっていたのね……リップが不機嫌だったのは。始末出来なかったからかしら」
結局、あの後頑張ったものの、無事に完成できたのはイリヤ達とナーサリー達の二班で、後は細切れにされた何かが入っているクッキーだったり、パートナーを握りつぶそうとしたり、邪魔な伯母上を焼き付くそうとする過程で一緒にクッキーが燃えたりしていた。
そんな話を聞きながら、楽しそうに笑うメルト。
「それで、二回目をやるの? それなら、私も見に行こうかと思ったんだけど」
「むっ……なら、後一回くらいは頑張ろうかな……」
「マジかご主人。メルトで一本釣り出来るとは……これはキャットでも一本釣り出来るようにならねばならぬと判断したぞ。待っていろ。キャットはご主人に認められるほどのスーパーキャットになって見せるワン」
「だ、大丈夫。キャットは今の状態で既にスーパーキャットだから。無理に頑張らないでも大丈夫。なんせ、料理教室の時に真っ先に手伝ってくれたし」
「キャットは最強ゆえな。だがやはりご主人にそう言ってもらえるのは嬉しい。して、次は何時だ? キャットは今からでも構わんが」
上機嫌なキャットに、オオガミは少し考えて、
「まぁ、後一回くらいはお菓子を作る予定だし……あぁ、でも、イベントあるからなぁ……正直、当初の目的は達成したからやる必要はないんだよね……」
「そうなの? てっきり、後何度かやるものだと思っていたのだけど」
「そもそもイリヤ達がやるためにやってただけだしねぇ……メルトが見学に来るからやるってのも、改めて考えると周りに迷惑になっちゃうし……そうだ。次作るときに手伝ってよ。やってると人が集まってくるかもだけど」
「……二人だけじゃないのね。まぁ、そっちの方が貴方らしいけど……良いわ。やるときに呼びなさい。結局この前は貴方に全部任せて気付いたら終わっていたんだもの。近くで見れるのなら……」
「まぁ、一緒に作るんだし、近くではあるよね。じゃ、キャット。明日作るから、予想以上に人数が増えたらそっちで引き受けて」
「あい分かった。キャットも混ざりたいが自重するとしよう……キャットは出来る女だからな。だからご主人。ニンジンで手を打とう!」
「よし。任せといて。最高のニンジンを用意しよう」
そう言って、二人はそれぞれ準備に向かうのだった。
その二人に置いていかれたメルトは、
「……まぁ、準備ができたら呼ぶわよね」
と、若干不安そうに呟くのだった。
料理系はエミヤよりもキャットの感じ……不思議……