迷宮じゃなくない?(どちらかというと迷路ですよね)
「ダンジョンだこれ」
「迷宮の名に恥じないものですね。進むも抜け出すも、一苦労でございましょう」
「う~ん……迷宮ではなく迷路だと思うのですが……あまり言わない方が良いでしょうか……」
当たりの道だろうが外れの道だろうが、行ってみたくなってしまうというのは、探索者の性か。
下手に外れの道を突き進むとろくなことにならないような気もしなくも無いが、それでも向かいたくなってしまうのは仕方のない事だろう。
「しかし、なんだかんだ言って、事前編成全部ぶち壊されたよね……」
「そうですね……私も、昨日の話からメルトリリスも来ると思っていましたのに……」
「私としては、あまり話したことが無いのでこの機会に話せたらなぁって思ってたんですが……仕方ないですね」
「はぁ……正直編成に組み込んだのはメルトであって、パールさんじゃないんだけど……」
「えぇ~……ちゃんと組み込まれてましたってば。メルトさんは後で合流できますよ、きっと」
「別に、戦闘の時には来てくれるけども……うぅ、編成制限はどうにもならないよね……」
苦い顔のオオガミに、パールは苦笑いをしながら、
「でも、普通の周回なら編成制限もありませんし、何とかできると思いますよ? まぁ、普通に進むときにはどうしようも出来ないのは事実ですが」
「むぅ……まぁ、それなら問題はないよね。それで、キアラさんはどうしたの?」
どこかぼーっとしているキアラに声をかけるオオガミ。
キアラは首を傾げつつ、
「いえ、なんとなく違和感を覚えまして……今のカルデアは誰もいらっしゃらないはずなのに、メルトリリスを呼ぶ事が出来る……不思議な話でございますね?」
「き、キアラさん……それは……」
「触れちゃいけない部類の話ですよ……!?」
二人に言われ、ますます首を傾げるキアラ。だが、すぐに気を取り直すと、
「まぁ、触れるな、とおっしゃられるのでしたらそうしますが、それにしても、不思議なモノです。どうやらマスターは、あえて外れの道を選んでいるようにも思えるのですが……」
「えっ。まぁ、うん。確かにわざと外れの道を選んではいるけども……ダメ?」
「いえ、そう言うわけではございません。探索したいという欲は、私にも分かりますので。ですが、急いでいるのならば遠慮なさったほうがよろしいのでは、と」
「あ~……それはほら、あまり急いでも、どうせ行ける限界はあるだろうし、焦る事は無いかなって。流石に馬鹿じゃないでしょ。侵入された直後なんだから気を張ってると思うし、むしろ進行して相手の心に余裕が出来た時に一気に攻め込んだ方が良いんじゃない? 心当たりもあるでしょ」
「それを言われると返しようが無いので、そう言う事にしておきましょう。では、散策をしつついける所まで行く、という事でよろしいのですね?」
「うん。そういうことで。それじゃ、行くよ」
そういって、三人は先へと進むのだった。
迷路と迷宮の違いは、たぶん自力で調べた方が分かるんじゃないかと思います……
しかし、編成制限は面倒臭い……何せ、メルトの絆上げに最適なマシュを連れて行くと苦しくなるんですからね。仕方ないので、メルトとキアラの二人が頑張ってますよ。