「ふぅ……そろそろ周回も終わりか。今回は早いな」
「お疲れ様です孔明先生。次回もあるよ」
「おかわりは要らん。スカディやマーリンを連れて行け。私は部屋に帰らせてもらう」
そう言って自室に帰っていく孔明。
オオガミはそれを見送った後、
「まぁ、今回のMVPはキアラさんだよね。最後まで優秀だったし」
「最後は周回にまで駆り出されるとは思いませんでした。えぇ。マスターがそう望むのでしたら、いくらでも戦いますけどね」
「すっごい不満なのだけど。なんでこいつと一緒なのよ。本当に、最初から最後まで一緒だったのだけど」
「そりゃ、趣味枠だったし。仕方ないって」
「尚更納得いかないのだけど。私がこいつに劣ってるっていうの?」
「いや、そう言う意味じゃなくって、特攻の問題だよ。雑魚をまとめて倒すのはキアラさんの方が有利だし。逆にカーマの初戦はメルトのおかげだろうし」
「……ならいいわ。頼っているならいいのよ」
「むしろ最近頼ってない時があったかなぁ……」
首を傾げるオオガミ。
メルトはどこか得意げだが、キアラはどことなく不満そうで、
「なにやら私が負けているような感じがするのですが、納得いきません。私もそれなりには戦っていたのですが」
「……まぁ、キアラさんはキアラさんで結構有能だったしね。うん。これ以上はたぶんこっちが殺される。撤退撤退」
「逃がさないわ」
「今回ばかりは逃がしませんよ」
「これは死んだなぁ……」
そう言って、捕まったまま遠い目をするオオガミだった。
* * *
「……またマスターが馬鹿な事をして捕まった気がするわ」
「お主のその対マスター用レーダーは何なんじゃ……」
「あ、本当です。管制室でメルトとキアラに捕まって迫られてますね。死んじゃうんじゃないですか、これ?」
「えっと、門で回収してきた方が良いのかしら」
工房でゲームをして遊んでいた四人は、エウリュアレの一言でガタガタと動き出す。
「別に、回収しないでいいわよ。そのうちボロボロで戻って来るもの。ただ、部屋には戻っておくわ。たぶん戻ったらそのまま寝そうだもの」
「まるで嫁じゃな……」
「今更のような気もしますけどねぇ……」
「むぅ……マスターさんを理解している感が羨ましいわ」
「アレはエウリュアレだけじゃしなぁ……あと可能性があるなら、メルトくらいじゃろ」
「メルトもあれを習得するんですかぁ……? ちょっと想像できないんですけど」
「出来ないんじゃなくてしないだけじゃろお主の場合」
「まぁ、そうですけど。メルトがあんなの覚えるとか、考えたくないです」
そう言いながら、BBが管制室の状況をモニターで見つつ、ゲームを再開するのだった。
リンゴ無しで交換アイテム全部交換できる優しさ……孔明先生もこれにはにっこり。