「龍馬ぁぁぁ!! どこじゃぁぁぁぁ!」
「うわっ、なんかヤバイの来たよ。どうしようゴージャス!」
「ふむ……ゴージャス……うむ。やはり響きがよい。今はオフ故、その呼称を許そう。そして、貴様の問いに対してだが、あのような輩はBBめに投げておけ。もしくは貴様の伯母だ」
「なるほど……面倒だしいっか! ゴージャス! やっつけちゃって!」
休憩室でソファーに座って対戦ゲームをして遊んでいた茶々とギルガメッシュ。
そこに刀を振りながら飛び込んできた以蔵を見て、キリッとした表情でギルガメッシュに命令する茶々。
それにギルガメッシュは表情を変えるでもなく、
「たわけ。今はオフだと言っておろう。そのような雑事、他の者にやらせておけ」
「う~ん……じゃあ、あれがこっちに来たら守ってよね」
「善処しよう」
そう言って、何事もなかったかのようにゲームを再開する二人。
そして、しばらくすると以蔵は再び叫びながら部屋を出ていった。
「……汝等、全く動じないな……」
「あ、バラキーいたの?」
ソファーの陰から出てきたバラキーが顔を見せると同時に驚く茶々。
だが、ギルガメッシュは大して驚くでもなく、
「初めからいたではないか。奴が入ってくると同時に隠れていたがな」
「あ、あまり適当なことを言うな! 吾だって相手をしたくない輩はいるからな!?」
「えぇ~? 茶々、バラキーが面と向かって歯向かってるの、あんまり見ないんだけど。大丈夫?」
「だ、大丈夫だ……吾、ちゃんと鬼だし……」
目が泳いでいるバラキーに、見ている側である茶々の方が不安になってきていた。
すると、ギルガメッシュが、
「我は少し疲れた。おい貴様。代わりにやっておけ」
「う、む……? おい待て。吾に何をしろと……?」
コントローラーを投げ渡され、首をかしげるバラキーと場所を入れ替わるギルガメッシュ。
「よぅし、次はバラキーをタコ殴りにすれば良いんだね! 任せて! ゴージャスの意志は受け継いだ!」
「な、なんだかよく分からぬが、なんとなくバカにされているのは分かった。吾は受けて立つぞ」
「ふふん! 負けないからね!」
「あまり油断していると殺られるぞ。何せ、あの引きこもりの部屋でひたすらに遊んでいたからな」
「えっ」
去り際にギルガメッシュが言い残していったセリフに、頬を引きつらせる茶々。
隣に座って、さも初見ですと言わんがばかりの表情をしていたバラキーは、試合開始と同時に悪巧みに成功した子供のようにニヤリと笑い、
「真なる鬼の力、見せてやろう!」
「なんですとぉ~!?」
バラキーの想像を絶する強さに、茶々に焦りが出てくるのは時間の問題だった。
忘れ去られた以蔵さん……是非もなし……