「のぅBB……これ、何やっとるんじゃ?」
「何って……普通にお菓子を食べてるんじゃないですか?」
カルデアのシステムを利用して監視しているBB達。緊急時にはアビゲイルを呼び出して人員を送り込むという名目があるわけだが、当然、技術部が勝手にやっていることで、管制室のメンバーは誰一人として知らない。
「むぅ……なんじゃ……面白いもんでも見れるかと思ったら、そうでもなさそうじゃなぁ……少し席を外すが、なにかあったら呼ぶんじゃぞ」
「えぇ、それはもちろん。食事中でもお風呂中でも容赦なく呼び出すのでご安心を」
「うむ。全く安心できないが安心じゃな。では行ってくる」
「は~い。あ、お菓子を取りに行くならBBちゃんの分もお願いしますね~」
そう言うBBに見送られ、ノッブは部屋を出るのだった。
* * *
「しかし、面白そうじゃと思って作ってみたは良いが……案外面白くはなかったな。BBは熱中してるようじゃけど、儂は別に興味もなかったしなぁ……」
覗き見用の機材を作ったは良いものの、覗き見よりも一緒に暴れたいノッブからすると、そこまで魅力的でもなかった。
なので、とりあえず気晴らしに外へ出たものの、行くところと言えば食堂くらいしかなかった。
「ふむ……別にサーヴァントだから要らぬと言えば要らぬが……握り飯の一つでも用意しておくべきじゃったか。旨いものの有無はモチベーションに関わるし、厨房にいるやつに適当に作らせるか」
そんなことを良いながら、食堂に向かうノッブ。すると、
「あら?」
「むっ……お主は……」
向かってくるカーマに気付くノッブ。
カーマは首をかしげながら、
「貴女は確か……第六天魔王を名乗ってた方でしたっけ」
「あぁ、そう言えば、お主は第六天魔王であったか。うむ。そこはあえてノーコメントで行くとしよう。考えてみるのも一興であろう?」
「そうですか……では、私は貴女に第六天魔王と名乗る権利をあげましょう。嫌ですけど」
「なんじゃ、奇っ怪な奴め。別に許可を取らんでも名乗るわ。だがまぁ、本人お墨付きというのも悪くはないか……うむうむ。なんだか良さそうじゃ! ではカーマよ。とりあえず儂と一緒に食堂行くぞ!」
「えっ、ちょ、私、ようやく解放されたばかりなのに!?」
強く手を引かれ、逃げる暇もなく連れ去られるカーマ。
つい先程子供サーヴァントによる包囲網を無事突破してきた直後にノッブに捕まる辺り、見る人が見れば涙を浮かべるような状況だった。
BBの依頼が忘れ去られるのは時間の問題だった……