「最初さえ越えれば意外と進めるのね」
「最初が最難関……あとは流れでなんとかなる……」
「そう言って、最後には全部リンゴで解決することになるんだから反省しなさい」
余裕で終わると思っているオオガミの頭を軽く叩くエウリュアレ。
それを見ていたBBが、
「スッゴい今さらですけど、エウリュアレさん、本分を何処に置いてきたんです? 元々無理難題を言って、達成できなかった人間を笑うかぐや姫的ポジションじゃなかったでしたっけ?」
「そうなの? てっきりこういう神なのだとばかり。ずいぶんと堕落したのね」
その言葉に、エウリュアレは少し考え、
「まぁ、そうね。聖杯を入れられてからじゃないかしら。あと、何を言っても相手が誰でも連れ回された時に諦めたのもあったわ」
「え、あ……素直に答えられるとは思ってなかったのでちょっと想定外なんですが……」
「あら。そんなに無理難題を出してほしかったのかしら。おかしいわね。貴女が来たときはてっきり似たようなものだとおもったのだけど……逆だったみたいね」
「いえいえ。私はちゃんと出す側で、出されたいわけじゃないので。なので全く要りません」
にっこりと笑うエウリュアレに張り付けたような笑顔で否定するBB。
それを見ていたメルトは、
「……ねぇマスター? 彼女は何時から連れ回しているのかしら」
「え? 三年前くらいからじゃない? 太陽ゴリラを倒すときに必死で育成したし」
「太陽ゴリラ……いえ、言わなくても分かるわ。一人しか思い付かないもの」
誰の事を言っているのか分かったメルトは、納得したように頷く。
そこへ、
「おぅマスター。買い出しから帰ったぞ~」
「最近オレの呼び出し多くないっすかね。いや、まぁ、あの真っ黒英霊よりはマシだと思いますけど。最近アビー嬢ちゃんに捕まってるらしいですし。ただ、なんで行く先々にこのポンコツAIまで一緒なのか小一時間ほど文句を言いたいですが」
「誰がポンコツですか! ロビンさんの方が何倍もポンコツじゃないですか!!」
ノッブと一緒に買い出しに行っていたロビンの言葉に反応するBB。
剣幕なBBに、苦い顔をしながら後ずさるロビンだったが、やがて壁まで追い詰められ、鎌によって逃走も出来ない状態にされる。
「わ、分かった分かった! オレが悪かったよ! 文句は言わねぇから!」
「分かれば良いんです。ただし、余計なことを言った罰として、今度手伝ってもらいますよ」
「それ、危険じゃねぇだろうな……?」
「安心してください。センパイも一緒です」
「バカ野郎平然とマスターまで巻き込むんじゃありません! 自重しやがれってんですよ!」
「ちゃんと安全に配慮してるって意味のつもりなんですけど!? というか、私が危険な事にセンパイを巻き込むとお思いで!?」
「今までの行動を振り返ってから考えな! おい、マスターからも何かを言ってくれよ!」
「え? いや、ほら、たぶん犠牲になるならロビンさんだけかなぁって」
「チクショウ味方がいねぇや!」
そう言うと、ロビンは鎌の隙間をすり抜けて、外へと逃走するのだった。
「あっ! 絶対逃がしませんからね! じゃあセンパイ。行ってきます!」
「ちゃんと連れ帰ってきてね」
「そのまま帰ってこなくても良いわよ?」
「メルトは後でじっくりとお話をするとします!」
そう言って、BBはロビンを追いかけるのだった。
たぶんメインストーリーは終わるけど、素材回収が間に合わない奴……い、行けるだろうか……
ロビンさん、いつも不憫……誰か救ってあげて……