「あら、マシュさん。どうしたの?」
「あ。アビーさん」
倉庫の前で首を捻って考えていたマシュに声をかけるアビゲイル。
声をかけられたマシュは、すぐに振り向くと、
「最近、気付くと資材が無くなっているんですよね……いつも先輩が原因だと思ってるんですが、あまり疑いすぎるのもどうかと思って……」
「そうなの? 最近だと、何がなくなったの?」
「呼符12枚ですね。二週間とこの前のボーナスで貰えたのを保管していたのですが、先程確認したら忽然と」
「……えっと、呼符を他に使いそうな人は思い付かないのだけど……」
「ですよね……やっぱり、先輩が犯人なんでしょうか」
「ノッブさんもBBさんも、呼符というか、倉庫の素材には一切手を出さないから……だから、マスターしかいないと思うわ」
「そうですね……とりあえず、帰ってきたら追及してみるとしましょう。私は食堂に行きますけど、アビーさんはどうしますか?」
「えぇ、私も行くわ。今日はエミヤさんにおっきなパンケーキをお願いしたの!」
「そうなんですね。一体どれくらい大きいんでしょうか」
そんなことを話ながら食堂に向かう二人だった。
* * *
「……! 帰ったらマシュに説教されるコースでは!?」
「むしろあれだけ召喚をしまくってマシュにバレないとでも思っていたのかしら」
衝撃の事実を知ったようなオオガミの反応に、呆れるエウリュアレ。
メルトはそれを見て不思議そうに、
「マシュって、そんなに強いの?」
「いや、物理的に強いから怖いとかじゃなくてな、あれは相性的な奴じゃ。どれだけ無敵そうに見えても、後輩に弱いんじゃよ」
「ふぅん……なんとなく分かったわ。要するに、BBと緑茶みたいなものよね」
「おいおいおい。そりゃねぇぜ。オレとアイツは、そんな生易しいようなもんじゃねぇだろうが。もっとこう……血と臓物が飛び散るくらいドロドロなやつで、マスターとマシュ嬢ちゃんみたいなふわふわしたもんじゃないって」
「そんな、血と臓物なんて大袈裟です。せいぜい奴隷と主人くらいじゃないですか。やだなぁロビンさんったら」
「おっと。さては気づかぬ振りだな? 実際、さっきここまで連れてくるときだって、背後から注射器で突き刺して動けなくしてから「さくらビーム!」うぎゃあああ!!」
話している最中のロビンを吹き飛ばす、桜色の光線。
直撃を受けたロビンは、生きてはいるが、きっと
「ふぅ……危ない危ない。うっかりロビンさんが口を滑らすところでした。次にパシるときにもう一回呼び出すことにして、今はお別れしましょう。さよならロビンさん!」
「て、てめぇBB……! 覚えてやがれ……!」
そう言ってBBの開いた門に沈んでいったロビンは、どこか可哀想であった。
いぞーさん、ようやく来てくれて、これで宝具3。あと二人必要だという真実に、私は泣きたい。