「ほとんどクエストは終わったけど、未だに茶々に会えないんだけど」
「そうね……『早く来てくれなかった』とか言って怒ってたら、迷わず生け贄に差し出してあげるわ」
「ドストレートな悪意……いや、全く悪意ないのか……!?」
「もはやいつものやり取りですし、悪意がなくなってても不思議に思わない私も、結構毒されてるかもしれないですね……」
「貴女も同じようなものだからじゃないの?」
エウリュアレによってさりげなく茶々への生け贄にされることが確定したオオガミ。
そんな定例のようなやり取りに、BBは首をかしげて自己分析を始めるが、メルトの一言でバッサリと切られる。
「失礼な。私はやるときはちゃんとやってますからね?いつもの発明品も、3割は悪意です!」
「それ、全く自慢になってないと思うのだけど……一度、あそこの部屋にあるのを外に投げた方がいいのかしら」
「ダメよアビゲイル。ちゃんと粉々に砕いてからじゃないと。拾ってくるかもしれないわ」
「それもそうね。そのときはお願いします。メルトさん」
にっこりと笑って、そんな極悪非道なことを考えている二人に、BBは頬を引きつらせながら、
「な、なんでしょう……最近、風紀委員とは別で、私単体を標的にしてるチームが生まれつつある気がするんですが……私、そんな恨まれることをしましたか……?」
「自分の胸に手を当てて考えてみなさい」
「ん~……胸に手を当てても、BBちゃんにはさっぱりです」
「そういうところじゃないかしら」
本当に分からなそうな顔をしているBBに、呆れたような顔で返すメルトとアビゲイル。
なにかをやるときは9割はなにかやらかすと思われているBBは、実際、ノッブ以上に要注意監視対象だったり、逃げ足が早いので、共犯者よりも逃げ切ることが多いことから、特にBBは許さないと思っているメンバーが存在していたりする。
ちなみに、そのメンバーの中にマシュがいることを、まだBBは知らない。
「しかし……おかげで、また防護壁を強化しなくちゃです……技術部の資材は倉庫から出ないので、実費なのが厳しいところ……うぅっ。活動費のために自主的に周回しないといけないのが悲しい……」
「なんだか大変そうね。まぁ、頑張りなさい。応援はしないけど」
「頑張って作っても、全部メルトさんが溶かしちゃうもの」
「どっちが悪なのか分からない戦いになってきてるんですけど……」
二人の容赦も慈悲もない言葉に、BBはノッブも巻き込むことを決めたのだった。
極悪パーティー結成の瞬間である……防御が意味をなさない恐怖……