「いやぁ……ギリギリスライディングセーフだったね……」
「本当にギリギリよね……おかげで高難易度のノッブを倒すのに令呪行使したじゃない」
「リンゴはそんなに使わなかったわね。意外と進めてたみたい」
帝都から帰って来たオオガミ達は、想像以上にサクッと終わり、令呪を犠牲にしつつ帰って来た。
そして、
「お帰りなさい先輩。では、エウリュアレさん。ちょっと先輩を借りていきますね」
「えっ?」
「あら、今回も早いのね。良いわよ。持っていって」
「えっ?」
「ありがとうございます。では、エルキドゥさん。お願いしますね」
「あぁ、分かったよ」
「えっ」
抵抗する間もなかった。
エルキドゥによって素早く鎖で縛り上げられたオオガミは、にっこりと笑うマシュに連れ去られるのだった。
そんな嵐のようなやり取りを見ていたメルトは、
「……あの子、昔からあんなにマスターへ当たりが強かったの?」
「いいえ、全く。昔はメドゥーサ見たいに従順で可愛かったわよ。ただ、マスターにあてられたのか、気付いたら今の状態よ。強制退去前まではもうちょっと柔らかかったと思ったのだけど」
「そう……人間にも色々あるのね」
「えぇ、そうね。貴女もそのうち同じことを言うことになると思うけど」
「? どういうことよ」
「そのうち分かるわ。さて、食堂に行きましょうか。やっぱりお菓子はいつものが一番よ」
そう言って食堂に向かって歩き出すエウリュアレ。
メルトはその後ろを、首をかしげながらついていく。
* * *
「――――という訳で、吾が二回殴り飛ばし、無事信長狩りは終わったというわけだ。つまり、吾のおかげだな!」
「おぉ~! バラキーすごーい!」
「いいな~。私ももっと開拓したいなぁ……」
「ん~……どこか盛っている気もするけど、面白かったから気にしないわ。あぁ、私ももっとマスターと冒険できたら良いのだけど」
食堂に着くなり、聞こえてきたバラキーと子ども組の声。
どうやら高難易度のときの話をしているらしいが、一部始終を見ていたエウリュアレとメルトは、嘘とは言い切れない微妙なラインを攻めているバラキーになんとも言えない表情になる。
そんな二人の気配に気付いたのか、バラキーは二人に目を向けると、
「おぉ、汝らも帰ってきたか。む? だが、マスターが見えないようだが……あぁ、
「あら、知ってたの?」
「三日前に言っていたからな……帰ってきたら捕まるのではないかと思っていたが、まさか本当に捕まるとは……」
「まぁ、向こうの時点で気付いてたみたいだけど、イベントを終わらせた安心感で忘れたんでしょ。私にはどうしようもできないわ」
そう言って、エウリュアレはお菓子を取りに行き、
「……あぁ、そうよね……マスターがいないんだから、お菓子が補充されているわけないわ。仕方ない。赤い外套のアーチャーに作って貰おうかしら」
「あら、意外ね。無理にでも引き戻すのかと思ったのだけど」
「流石に、マシュを相手にそれは出来ないわ……最近疲れてるみたいだし、息抜きも兼ねてるはずだもの……」
「ふぅん……まぁ、良いのだけど。先に席に座ってるとするわ」
「えぇ、後でね」
そう言って、エウリュアレとメルトは別れるのだった。
いやぁ……リンゴが4、5個持っていかれてしまった……新規イベント楽しみだなぁ(白目