「びぃびぃ~……儂、飽きたんじゃけどぉ~」
「知らないですよ……休憩室に行って他の人たちと遊んで来ればいいじゃないですか……私はセンパイに通信機を渡す手段を考えてるんですから」
後ろで椅子に座って足をバタバタとしているノッブに、忙しそうにしながら適当に答えるBB。
だが、ノッブは不満そうな顔で、
「集まってくるのは子供サーヴァントや金ぴかくらいだからな……あんまりおもしろくないわけじゃ。戦闘力が違う、というところじゃ」
「……金ぴかさんに堂々喧嘩を売れる辺り、流石ノッブって感じです。それなら、刑部さんとかどうですか?」
「あ~……それなんじゃけど、あやつはいつも締め切りに追われててな……なんというか、押し掛けるのは悪い気がするんじゃよ……」
「えぇ……面倒ですねこの武将……じゃあ、アナさんを呼んで遊んでてください。ついでに、アナさんは時々センパイと遊んでるので、結構強いと思いますよ。特に最近はほとんど戦闘をしてないので、大体遊んでますし」
「……それは知らんかったな……最近見ないとは思ったが、まさかそんなことになってるとは思わなんだ……うむ。なんか可哀想だから儂、ちょっと行ってくる。流石におっきーみたいのを量産するわけにはいかんからな」
「そうですね~。行ってらっしゃ~い……って、ちょっと待ってください。刑部さんみたいなのの定義って――――」
どうなっているんですか。という問い掛けと共に振り返るが、既にノッブの姿はなかった。
* * *
工房を抜け出したノッブがアナのいる部屋に向かうと、その部屋の前で、うんうんと首をかしげて何やら考えている少女を見つける。
「ん。ステンノか。どうしたんじゃ? そこ、自室じゃろ?」
「あぁ……貴女は確か……信長さん、だったかしら。今、ちょっと困ったことになっていて……妹がおかしくなってしまったんです」
「いや、エウリュアレは元からおかしかったじゃろ」
「いえそっちではなく」
即答で返されたノッブは、そういえば妹ではなく私と表現していたな。と思い出しつつ、
「それで、困ったってのは、どういうことじゃ?」
「ん~……実際に見ていただいた方が早いかと。私にはさっぱりです」
「ふむ……まぁ、見てみるとするか」
そう言って扉を開けると、部屋の中は暗く、しかし奥に置かれているディスプレイで部屋は微かに照らされていた。
そのディスプレイの前に陣取っているのは、エウリュアレやステンノとそっくりの見た目の少女と、その少女が大人になったような女性。
言わずもがな、メドゥーサである。
「くっ……やりづらいですね……」
「攻撃力だけで武器を変更するからです。このゲーム、一応難易度は高い方ですからね?」
「分かってます。ただ、マスターが出来ていたので、私もできるかと思ったのですが……」
「何しとるんじゃ二人とも」
「「あっ」」
不意に後ろから声をかけられ、敵の一撃を喰らって塩に変わっていくプレイヤーキャラ。
操作していたアナとメドゥーサは声の主に目を向け、
「何の用ですか?」
「見ての通り、私たちは今忙しいのですが」
「いや、分かるけどな? 儂もやったしね? じゃが、ほら、あやつの目を見てたら、なんかだんだん怖くなるじゃろ?」
そう言って後方を指差すノッブ。
その方向へ視線を向けた二人は、ドアの前でにっこり笑っているステンノを見て、焦ったように素早く片付けを始める。
そんな二人に、ノッブは、
「のぅ……良かったらなんじゃけど、儂の部屋に行かぬか? ちょいと暇でな……遊び相手になってくれると嬉しいんじゃが」
「えぇ、行きます。早めに行きましょう。姉様に殺される前に」
「片付けは終わらせました。では颯爽と行くとしましょう」
そう言って立ち去ろうとする三人。
だが、ステンノの魔の手がメドゥーサだけを掴み、
「アナは持っていって良いわ。だから、代わりにメドゥーサを貰っていくわね」
「うむ。分かった」
「去らばです。大きい私」
「そんな薄情な!?」
そう言って、メドゥーサを生け贄に、ノッブとアナは逃げ出すのだった。
私のところ、ゲームが出来そうなサーヴァントいないよなぁ……と思い、アナとメドゥーサを落としてみた……想像したら案外行けそうなのでやってみてしまったのです。
正直、やってるゲームの内容を分かる人いるのかなって思いつつ、そもそも誰も気にしてないと考える私がいた……