「はぁ……先輩はもう少し使わないでおくというのを覚えてほしいです」
「まぁ、うん……反省します」
復活したマシュに叱られるオオガミ。
だが、マシュはすぐに表情を変え、
「でも、帰ってくるなり私の様子を見に来てくれたというのを聞いたときはちょっと嬉しかったです」
「えっ、あ、うん……まぁ、心配だったしね」
そう言って目を逸らすオオガミ。
自覚があるからこそ、なんとも言えない表情になっていた。
「そういえば、BBさんと信長さんはちゃんと仕事をしてくれてましたか?」
「うん。ちゃんとやってたよ。倉庫整理も管制室も。しばらくは休んでて良いんじゃない?」
「そういうわけにもいきません。休むとやり方を忘れてしまうので……」
「そう? まぁ、止めはしないけど……無理はしないでね?」
「はい。無理はしませんよ。では、倉庫の確認からいってきますね」
「うん、行ってらっしゃい」
そう言って、マシュと一緒に部屋を出るオオガミ。
そして、マシュが見えなくなった辺りで、
「さて、食堂に向かいますか」
「そうね。ノッブとBBが待ってるもの」
「どこで待ってたんですか女神様」
食堂に向かおうとするオオガミの後ろから現れるエウリュアレ。
大して悪びれた様子もなく、むしろ上機嫌で、
「最初から、かしらね。メルトは置いてきたわ。大人しく待ってるような子でもないでしょ?」
「それ、魔神柱戦の時の自分に言ってやってくださいよ」
「でも、多少のアクシデントがある方が楽しいでしょ? というか、その他人行儀なのを止めて。噛み付くわよ」
「吸血する気……?」
「……考えなかったけど、してほしいの?」
「あぁ、いや、何でもない。何も聞かなかった。良いね?」
「無理な話ね。そういうの、私が大好きだって知ってるでしょ?」
「……あぁ~……がんばれ~、明日のオレ~……」
遠い目をしたオオガミは、舌舐めずりをして楽しそうに笑うエウリュアレを見て、抵抗することもなくその襲撃を受け入れた。
* * *
「で、マスターはエウリュアレのせいで瀕死ということか」
「なんで今日に限ってそんな事をしたんですか……アビーさんが連れてこなかったらセンパイ、死んでたんじゃないですか?」
「反省してるわよ……興が乗ったと言うか、舞い上がってたと言うか……それもこれも、魔神柱のせいよ。レイドなんてして、気分を上げさせるから……」
「気持ちは分かるわ……何が酷いって、目の前で戦ってるのに、参加できないってところよね。えぇ、分かるわ」
そういう彼女たちは、いつもの工房で死にかけていたオオガミを治療していた。
反省しているエウリュアレに、BBは、
「とりあえず、看病はエウリュアレさんがやってくださいよ。私たちもそんなに暇じゃないですし」
「えぇ、分かったわ。この私の完璧な看病を見せつけて上げるわ」
「フラグにしか聞こえんのじゃが……」
エウリュアレの不穏な発言に全員は不安になるも、オオガミの容態が安定した辺りで、一時解散となるのだった。
これは……イチャイチャ判定で良いの……? あ、アウト……?