「ふふっ……ほぼ一方的に蹴り殺せるのは気持ちがいいわ」
「そのために、割と被害は出たがな」
「もう今更一度や二度程度で私の心にダメージは無い。ふふっ。これが成長というものか」
生き生きとしているメルトとは反対に、死んだ目をしている孔明と遠い目をしているスカディ。
高難易度を全力で蹴り飛ばして帰って来た三人は、
「そういえば、二人はいつもどんなふうに過ごしてるのかしら。周回でしか会わないから、ちょっと気になってたのよね」
「私は基本部屋で過ごしているが、周回に良く駆り出されるからな。最近はあまり部屋に帰らずに、休憩室にいる」
「私は食堂にいるぞ。あそこはアイスが置いてあるからな。うむ。もう周回してないでアイスばかり食べていたい」
「部屋に帰れないくらい忙しいって大変そうね……私も人の事言えないけど」
二人の状況に同情しつつも、自分も似たような所があるので何とも言えない。
「そういうお前はどうなのだ。私たちとは違う理由で振り回されてる気がするが」
「私は……そうね。もう部屋がフィギュア部屋になったわ。今マスターの部屋にいるもの」
「あそこは危険地帯と有名だが、ちゃんと過ごせるんだな……」
「私は一度も行ったことが無いから知らんが、なんでそう呼ばれているんだ……?」
「あ~……何となくだけど、マスターの周囲が無茶苦茶恐ろしいからじゃないかしら……BBなんか、最近障害物すら無視しに来てるもの……」
「アビゲイル嬢みたいに門を使うと聞いたが……まさか本当なのか?」
「水着に変わったときからずっと使ってる。あれは敵に回すと厄介だ……」
「結構使ってるからてっきり貴方も知ってると思ったけど。まぁ、事実よ。使い方はやっぱりBBの方が悪質だけど」
そう言って、苦い顔をするメルト。
すると、
「全く……なんで私がメルトを探しに行かなきゃならないんですか……相性悪いのはセンパイも知ってるはずじゃないですか……」
「噂をすればなんとやら、ね」
「あぁ、全くだ」
嫌そうな顔で歩いてくるBBを見て、苦い顔をするメルト達。
そんな三人を見つけたBBは、
「あぁ、いましたいました。っていうか、なんでみんな嫌なものが来たみたいな顔をしてるんですか」
「今貴方が言った通りよ。噂をしてすぐに来るなんて、どこかで聞いてたんじゃないの?」
「えぇ~……センパイに言われて嫌々探してたのに、まさかそんなこと言われるとか思わなかったんですけど……BBちゃん心外です」
「日頃の行いをもっと見直しなさい」
「もう言われ慣れてきたんですけど……最近結構頑張ってる様な?」
首を傾げるBBにメルトはため息を吐き、
「まぁいいわ。マスターが呼んでるなら、さっさと行くわよ。じゃあね。話が聞けて良かったわ」
「あぁ。こちらもいろいろ聞けて良かった」
「食堂に来ればアイスをいくらでも用意するぞ」
「えぇ、またね」
そう言って、BBを急かしつつ去って行くメルト。
孔明とスカディはそれを見送ってから、各々の目的地へ向かうのだった。
高難易度はメルトでぶっ飛ばしました。やっぱりメルトは最強だなって!(錯乱