「うおぁぁぁ!!? あの野郎、最後に全部持っていきやがったぁ!!」
「多少の違和感はあっても、十分よね……でもまぁ、貴方が犯人っていうのも良かったけど。えぇ、一生懸命演技しているのは、とても見ごたえあったわよ?」
完成した作品を見て、叫ぶオオガミ。
とはいえ、作品自体は出来が良いので文句の付け所がないのだが、それはそれとして文句を言いたいのだった。
「まぁ、別に良いけどね。映画なんて、そうそう撮るものでもないし。貴重な経験だわ。サバフェスも楽しみね」
「夏休み……サバフェス……終わらない一週間……人気トップ……徹夜からの頒布……うっ、頭が……!」
「そういえば、去年はほとんどホテルにこもってたから、一緒に外出してないわね……今年は大丈夫かしらね」
「……善処します」
自主製作映画もありか。なんて思いつつ、エウリュアレから目を逸らして答えるオオガミ。
だが、エウリュアレが誤魔化しなど許すわけもなく、
「事前に対策打っておかないとまた私は一人観光地巡りなのだけど? そろそろ本気で怒るわよ?」
「まるでいままで一度も本気で怒ったことがないような言い分だ……あ、いや、なんでもないですエウリュアレ様。絞め落とすならアンリとかが適任だとおもぐえぇ!」
「ふふっ。今まで素手で攻撃してないでしょ? だから、ちょっと英霊としてのパワーにものを言わせたパワープレイをしてみようかなって。だってほら、貴方、矢だと避けるから」
「納得できるけど納得したくない……!」
「ふふっ。ほら、だんだんと首を絞めていくわよ? それで、次のサバフェスは余裕をもって進められるのかしら?」
「れ、礼装はあるんで、リンゴ次第でぅ……」
「そう……じゃあ、さっさと終わらせないとよね。えぇ、行ってみたいみお店がたくさんあったわ。だから、早く終わらせて外に出てきなさいね。良いわね?」
「ひゃ、ひゃい……」
逆らわせるつもりのない強い眼光に気圧され、了承するオオガミ。
どうやら急がないと命の危機に陥るようなので、全力で周回することを決めるオオガミ。
とはいえ、おそらくサバフェスまでに互いに忘れているはずなので、あまり強く意識しなくても良いのではないかと考える。
「さて、マスターへの脅迫も済んだことだし、打ち上げにいきましょう。焼き肉が良いって聞くわ。厨房組に相談しに行きましょう?」
「なにか間違ってる。微妙に何かが違うからちょっと待ちなさい!?」
颯爽と去っていくエウリュアレを追いかける邪ンヌ。
オオガミはその嵐を見送ったあと、
「……とりあえず、地獄の執筆作業だよね。うん」
そう言って、オオガミは遠い目をするのだった。
まぁ、邪ンヌの圧勝でしたね。案外サクッとエンディングを迎えてビックリでしたけど。まぁ、あれくらいがちょうど良いですかね?
というか、邪ンヌを見てるとサバフェスしか出て来なくなるんですけど……末期……?