「えっとぉ……まーちゃん? どうしてここにいるの?」
「エウリュアレから逃走中。昨日メルトを肩車した辺りから微妙に機嫌が悪いので、見つかったら殺される」
良く分からないことを言いながら、姫の原稿のアシスタントをしているオオガミ。
刑部姫は首をかしげ、
「ちょっと待って? なんでメルトが肩車されてるの? そこが一番わかんないんだけど」
「いや、体重的に行けるんじゃないかと思ってエウリュアレと話してたら、そこにメルトが帰ってきて、することになったわけです」
「いや、普通ならないと思うんだけど? 普通、『変態っ!』て言われて叩かれるんじゃないの? 乗り気とか、好感度高すぎじゃない?」
「……気にしないようにしてたけど、やっぱ変?」
「うん。かなり変」
刑部姫に面と向かって言われ目に見えて落ち込むオオガミ。
とはいえ、分かっていなかったわけでもないので、衝撃はそこまで大きくはない。
「で、おっきー。なんでエウリュアレは怒ってると思う?」
「えっ、それ聞くの? 後から来たメルトがあれなんだから、エウリュアレもそんなに変わんないでしょ? うん。そう言うことなんじゃないの? 姫、理解しがたいけど。でも、ネタ的にはアリなんじゃないかなって思うよ。ファイト。まーちゃん」
「なにその、既に死にそうな応援は……というか、何に対する応援なの? えっ、死なないように?」
「……うん。まーちゃんはそういう反応だよね。噂で聞いてる感じ、普通手が出てもおかしくない状況で平然としてるもんね。うん。まーちゃんに天罰が下れば良いのにって思うよ」
「おっきー? なんか目が怖いよ?」
なんとなく、怒り2割、呆れ8割のような雰囲気を感じ取るオオガミ。
「はぁ……全く。まーちゃんはそうやって下手に好感度を稼ぐから、変な目に遭うんだよ? だからほら、素直にエウリュアレに謝って肩車してあげて。でないと後で酷い目に遭うんだからね?」
「うん……うん? 待って? そこで肩車をする流れになるのが分かんないんだけど?」
「良いから、早く行ってきなって。ほら、もうすぐエウリュアレが来るから」
「ま、まるで呼んだみたいだね?」
「うん。呼んだもん」
「何て事をしてくれるんですか!?」
刑部姫の一言に慌てるオオガミ。
そんなオオガミを見て、刑部姫は、
「逃げようとしてるでしょ……」
「ぐっ……バレたか……」
「逃がさないからね。姫の落書き対象にするんだから。ほら、早くエウリュアレを肩車するんだぁ~!!」
「そっちが本音だな貴様ぁ~!!」
襲撃されるオオガミ。それと同時に扉が開けられ、エウリュアレが入ってきたことにより更に場が混沌とするのだった。
なんでおっきーはこんなキャラに……この、負けヒロイン感ダメですって……バレンタインのヒロインパワーはどこへ……