「さて諸君! ついにインドがやって来た! 故に、これから作戦概要を伝えるよ!」
「一瞬で軟化したわね。最後まで貫きなさいよ最初の口調」
ドヤ顔で言った直後にエウリュアレに蹴り飛ばされるオオガミ。
流れるような蹴りは、絶妙な加減がされており、軽いダメージしかない。
とはいえ、痛いものは痛いので、その場にうずくまるオオガミ。
すると、集められたメンバーの一人――――クロエが挙手する。
「一つだけ聞きたいんだけど、なんであんまり周回について行っていないメンバーたちだけなの? メタ的に言うと、絆レベルが5未満のメンバーなの?」
「そうね。それについて説明しておきましょう。簡潔に言うなら、そういう縛りみたいよ。楽しみね。観戦してるから、頑張ってちょうだい」
「自分に関係ないからって、かなり余裕ね……あそこから引きずり下ろしたいわ」
「でも、クロ。一番マスターと一緒にいるのはあの人。最近だと種火周回にも付き合わされてたから、間違いないと思う」
「……なんか、大変なのね……ごめんなさい。きっと、かなり振り回されたのよね……」
「変に同情しないで。こっちが恥ずかしいから」
素直に謝ってくるクロエと可哀想なモノを見るような目で見てくる美遊に、恥ずかしくなるエウリュアレ。
そのタイミングで起き上がってきたオオガミは、
「とりあえず、エウリュアレの言うように、絆レベル5未満で、スキルも5未満。ついでにレア度も5未満だよ……まぁ、いける所までそれで行くよ。皆、ファイト」
「指揮が貴方なんだから、貴方が一番頑張るのよ」
「は、はい……」
横からチクチクと攻撃を受けるオオガミ。
そんなオオガミの、当然の様に横に現れたカーマは、
「私、何時になったら戦闘に呼ばれるんです? もうかなり呼ばれてないんですが。というか、一回も呼ばれてないんですが。どういう事なんです?」
「そりゃ、呼んでないからとしか……正直、ジャックちゃんも呼ぶタイミング無くてずっとカルデア待機だから、不健康にならないように外に出してあげたいんだけど……」
「私も不健康になるんですが! お菓子ばっかり食べてるから不健康ですよ!」
「それは自重しなさい」
うっかり口を滑らせ余計な事を言ったがためにエウリュアレのチョップが頭に刺さるカーマ。
当然オオガミの視線もいくらか冷ややかなモノに変わる。
「えっと……じゃあ、カーマはしばらくおやつ禁止で、BBの方で手伝いを、という事で。BB。強制連行」
「は~い! お任せを! ちょうど頑丈な実験台が欲しかったところです、ノッブが!」
「えっ、ちょ、本当に連行されるんですかコレ! 同じ顔のサーヴァントなんですが! ちょ、手心は無いんですね!?」
門を通って現れたBB。
そして、連れ去られるまで声を上げ続けるカーマだったが、ものの数秒で門の向こうに放り投げられ、静かになる。
「それじゃ、これで! インドでの活躍、楽しみにしてますね!」
BBは最後にそう言って、同じく門に飛び込んでいった。
嵐の過ぎ去ったような場で、オオガミは一言。
「それじゃ、インドに突撃で」
こんなぐだぐだでいいのだろうか。
図らずも、その場の全員の思いが一致した瞬間だった。
今回の縛り一覧
・スキル5未満
・星5未満
・絆5未満
・NPC縛り(NPC不在時は除く
・コンティニュー禁止
・石禁止
優先度が低い順なので、上から順番に破られるという。でも、メンバーを見てる感じ、一つも破られる感じがしないのがちょっと不安点……勝てるんだろうか……