「無理。駄目。勝てないってこれ」
「流石に、コレは厳しい……私でも分かる。だが、なぜそれでも自らの枷を外さんのだ」
「そりゃアレだ。『本気なら勝てるから』だろ? うちにはアレくらい何でもねぇってくらいのがいるからな。強化解除は、まぁ、難点だが、それがあろうとなかろうとなんとかできるくらいの戦力はいるって訳だ」
「……いたとしても、使わぬなら変わらんだろう?」
「ま、それを言われちゃなんも言えんわな」
未だ縛りを継続しておよそ最終戦。もし後があるとしても一度か二度だろう。
しかし、そこに来て完全な停滞。勝てる気がしないので、放心状態だった。
当然、なぜ縛っているのか分からないバサランテからすれば、首をかしげるもので、なんとなく分かるベオウルフは苦笑しながら答える。
「しっかしまぁ、弱体が効かねぇんじゃ、対策の打ちようがねぇな。宝具は止められねぇあのクソ火力も抑えられねぇってんじゃ、無理くせぇ。どうするよマスター」
「どうするって言ったって、そりゃ、考えるしか無いけどさ……突破口が見つからないんだよね……」
「だから、アビゲイル……いや、北斎をだな?」
「ですので、それはNGとなっております」
「何故なのだ!?」
バサランテの悲鳴が聞こえるが、聞こえないことにする。
「まぁ、最悪、令呪を使うしかないでしょ。頑張れ~……明日のわたし~……」
「ずいぶんと投げやりになったな……」
「だから、メイン戦力をだな……いや、もうこれ以上言っても変わらんか……」
「お。ついにバサランテが諦めた。ふふふ。ようやく私が融通の聞かないやつだと分かってもらえたようで」
「……この、何とも言えない敗北感はなんだろうか……」
納得のいかないバサランテはしばらく首をかしげていたが、諦めたように大きくため息を吐くと、
「まぁ、最後に勝てるなら構わん。勝ちにこだわる訳ではないが、奴のやり方は気に食わん。とりあえず全力で殴らせろ、という気分だ」
「それは、うん。叶うと思うけど。だってほら、メインアタッカーですし?」
「……今日は、私の出番が多いな……」
「おう。オレはそろそろ限界みたいだからな。どうしてもそっちが多いみてぇだ。俺もやりたいんだがな……」
「……あぁ、なるほど。信長達が言っていたのはこういうことか……」
バサランテはそう言って、遠い目をする。これが、おそらく戦いたいサーヴァントと戦いたくないサーヴァントの差なのだろうと、身をもって実感したのだった。
流石にコンティニューはしても良いんじゃないかなって思ってきました。というか、普通にめっちゃ難しいんですけどこれ。