「……なんつーか、ほんっとうに仲いいよなアンタら」
「うん? どこまでの範囲?」
「そこのグループ全体ですよ」
やれやれと首を振るロビン。
そんな事を言われたオオガミ達は顔を見合わせると、首をかしげ、
「そんなに?」
「全く意識してないのだけど」
「どこらへんがそう見えるのよ?」
「無意識かよ。いや、そんな気はしてたがよ……まぁなんだ。仲が良いのを悪いとは言わねぇよ。ただなマスター。痴話喧嘩をオレに持ち込むのだけは勘弁な」
「えぇ~……ロビンさんが一番巻き込みやすいのに……」
「いや、巻き込むなって言ってんでしょうが」
そう言って苦い顔をするロビンに、悪い事を企んでいる子供のように笑うオオガミ。
だが、そんなロビンに対して、エウリュアレとメルトは、
「大丈夫よ。そっちには迷惑はいかないはずだから」
「えぇ。もしそういう喧嘩が起きたらって言う仮定があるけど、もしそうなるなら」
「「絶対に逃がさないから」」
「……説得力あるな……」
「……完全に殺されるのでは?」
一切容赦なく逃がす気はないという強い意思を感じたので、おそらく令呪なんて関係無しに捕獲してくるんだろうなぁと思いつつ、今日のおやつである抹茶のパウンドケーキを食べるオオガミ。
目が怖いので、たぶんロビンがいなくなったあとで恐ろしい目に遭うかもしれないという漠然とした予感があった。
「さて。それじゃあオレはこれで失礼しますかね」
そう言って立ち去ろうとしたロビンのマントを掴み、逃がさない。
「……あの~……行かせてもらえませんかねマスター?」
「ダメ。一人だけ逃がしはしないよ」
「目が本気じゃねぇか……!」
せめてそのマントは置いていけと言わんがばかりの視線に、たじろぐロビン。
当然、ちょっと動揺したからとはいえ優しくするつもりは一切ないのだが、無駄に力が強いので振り払うにも難しかった。
「くっ……どうしろってんですか……」
「いや、何もしなくていいからそこにいて……死にたくない……」
「殺さないわよ……」
「逃げられないようにするけど、それだけよ。えぇ。とりあえず、部屋に帰りましょうか。ちょっと話す事が出来たしね?」
「……ロビンさんも一緒に」
「行かねぇよ素直に諦めて帰れよ!?」
必死で捕まえてくるオオガミをどうにか振りほどこうとしつつ、無駄にいい笑顔をしているエウリュアレとメルトから距離を取るロビン。
「マジで止めろマスター! マント渡すから明日までに返せよ!?」
「しばらく潜伏しておくね!」
「どれだけ逃げても、アビーなら捕まえてくれると思うから別に構わないけど……ちょっとお話の時間が延びちゃうかもしれないわね」
「……素直に行きます」
「そうそう。そうやって素直に行くのが……って、待てマスター! マントは持って行くってのか!?」
「まぁ、貰えるものは貰っておくという事で」
「あげては無いからな!? 返せよ使うんだから!」
そう言って、エウリュアレとメルトに連れ去られていくオオガミをロビンは見送るのだった。
毎度ロビンさん不憫な目に遭ってるなぁ……とりあえず、ロビンさんのマントを剥いだぞぅ! これで隠密に関しては完璧だな!