「うわはははは!!! 吾は止まらぬぅ! 当然菓子も貰うぅ~!!」
「暴れないでください! なんでかしわ寄せがこっちに来るんですから!」
「吾には関係ないなぁ!! ふはははは!!!」
そう言ってお菓子を持って走るバラキーを追いかけるカーマ。
そんな時だった。ドンッとぶつかり、バラキーは反動で倒れる。
見上げると、そこにいるのは褐色赤髮の男。
「あぁ? 走り回ったら危ないだろうが。ちゃんと前見て歩け」
「ぐっ……わ、分かっておるわ。だが、
「そうだが……なんかあるのか?」
「いや、無いが……名前を聞いておこうと思ってな。うむ。後ろから追いかけてくるカーマからも似たような気配がするからな」
「あぁ? 後ろだぁ……?」
「げっ……嫌な気配がすると思ったら、貴方、シヴァの化身ですか……本当に、ここはどうなってるんですか……」
「……どっかで会ったか……? いや、ちげぇな。シヴァの方に反応するのと、その気配……カーマか?」
褐色の男に名前を言われたカーマは、全力で嫌そうな顔をする。
だが、そんな事はお構いなしに空気を読まないバラキーは男の脛を蹴り、
「誰もカーマと話していいなどとは言ってない。早く名前を言えと言ってるだろうが」
「う、ぐうぅ……い、意外と良い蹴りすんじゃねぇかクソが……!」
「ふん……もう一発入れてやっても良いが、
「なんだよココ……想像より何倍もアブねぇんだけど……怒る暇もねぇんだが……!」
容赦のない一撃に、困惑を隠せない男。
「……で、名前は?」
「……アシュヴァッターマン。なんとでも呼べ」
「ふむ。あしゅう゛ぁったーまんか……長いな。短くならないのか?」
「あぁ? 短くなるわけねぇだろうが。ったくよぉ……挨拶だけしようと思ったらこんな目に遭うしよぉ……わけわかんねぇわ!」
そう言って怒りを露わにして立ち上がったアシュヴァッターマンに、容赦なく槍を叩き込んで静かにさせるバラキー。
その場で倒れたので、本当に気絶させただけである。
「ふぅ……とりあえず、これはますたーに押し付けておくか。迷惑料として菓子を要求するとしよう」
「……アッサリですね……なんというか、もっと面倒なことになると思ったんですけど、意外と強いんですね貴女……」
「……吾は鬼なのだが。鬼が弱いわけなかろう?」
「……そうですか。まぁ、別に良いんですけど。それはそれとして、暴れるならマスターの部屋で暴れてください。ここだとなぜか私が叱られるので」
「いや……マスターの部屋は、頼光の部屋並みにだめだ……エウリュアレが怖い……」
「……シミュレーションなら付き合いますから、そこにしてください」
「む。仕方あるまい。出来るだけ善処する」
そう言って、アシュヴァッターマンを槍の先に引っかけて、バラキーとカーマはマスターの部屋に向かうのだった。
バラキーを出したい気持ちとカーマを出したい気持ちと今日引いた新鮮なアシュヴァッターマン兄貴を出したい気持ちがせめぎあい結果としてアシュヴァッターマン兄貴が残念になってしまった。
違う……違うんですよ兄貴……本当はもっとかっこよくするはずだったんだ……すまねぇ……すまねぇ兄貴……!